ママパパ向け 小児看護

赤ちゃんの【発達の遅れ】何を見れば気づけるの?

こんにちは。
小児集中治療室に勤務する看護師のpi ✿︎(@shinkan0607) です。
子どもを看る上での知識を発信しております。

赤ちゃんの“発達の遅れ”があると心配ですよね。

どこまで様子を見ていいのか、どのタイミングで相談したら良いのか悩むことも多いと思います。

今回は、症例を例として赤ちゃんの“発達”について考えていきましょう!

 

赤ちゃんの成長

赤ちゃん(ここでは1歳までの乳児期とします)の成長発達の流れを知っていますか?

乳児期の1年間の成長は、とてもはやくできることが日々、沢山増えていきます。

しかし、この赤ちゃんの“発達”は、個人差があることも事実です。

赤ちゃんの発育、発達の目安は以下の通りです。

遅れていることが気になる際には、乳児検診(特に3~4ヶ月検診は大事!)の時や小児科医に相談しましょう。

 

赤ちゃんの発達【運動能力】

赤ちゃんは、以下の期間でそれぞれの運動能力を獲得していきます。

運動能力

首がすわる(頸定):3~4ヶ月

寝返りをうつ:5~7ヶ月

支えなしで座る:6~7ヶ月

ハイハイ:8~10ヶ月

つかまり立ち:8~10ヶ月

つたい歩き:10ヶ月以降

1人で歩く:11ヶ月以降

赤ちゃんの発達【操作】

3ヶ月ごろからものを握れるようになり、動きが活発になってきます。

周りへの興味も湧いてきます。

操作

触れたものを握る:0~2ヶ月

ガラガラを振る:2~3ヶ月

自発的に掴む:4~6ヶ月

両手に持つ:4~7ヶ月

持ちかえる:5~7ヶ月

両手の積み木を打ち合わせる:8ヶ月以上

親指・人差し指で小さなものを摘む:9ヶ月以上

箱の中に入れたり出したりする:10ヶ月以上

赤ちゃんの発達【ことば・心】

赤ちゃんは、ご家族の愛情豊かな受容によって情緒が安定してきます。

愛着関係を育み、生活リズムを合わせて気持ちよく過ごせるようにしていきましょう。

ことば・心

あやすと笑う:1~3ヶ月

“いないいないばあ“で喜ぶ:3~6ヶ月

喃語を話す:5~7ヶ月

人見知り:6~8ヶ月

バイバイする:9ヶ月以降

大人の動作の真似をする:10ヶ月以降

ママパパという::11ヶ月以降

赤ちゃんの発達【生活習慣】

段々と赤ちゃんも自分の意思を持ち始め、自分でやりたがることが増えていきます。

生活習慣

スプーンで飲むことができる:4~6ヶ月

ビスケットを自分で持つ:5~7ヶ月

コップを自分で持って飲む:11ヶ月以上

 

 赤ちゃんの成長発達の異常

先ほどあげた成長発達の目安からやや遅れがあるとご家族は不安に思いますよね。

このような質問をいただくこともあります。

12ヶ月 A君ママ

12ヶ月になるのにハイハイ・つかまり立ちをしないです。
この子は発達が遅れているのでしょうか?

では、A君の現在までの情報を見てみましょう。

A君の記録

正期産(40w1d) 2900gで自然分娩出生。

その後の発育は正常範囲内。

頸定:3ヶ月 寝返り:5ヶ月 座位:7ヶ月

12ヶ月の現在でハイハイ・つかまり立ちをしない。

移動は座位の体制から足漕ぎ、お尻をするようにして移動する。

こういった症例の場合、まず原始反射や筋力・筋緊張などを確認する必要があります。

 

原始反射とは?

反射とは、無意識に特定の筋肉などが動く現象のことを意味しています。

知覚や姿勢などに与えられた刺激が、大脳の統制を受けずに脊髄や脳幹に伝わって起こります。

原始反射は、未熟な赤ちゃんが環境に適応して生きていくために備えられている機能と言えます。

赤ちゃんの意思とは無関係にこのような反射は起こります。

しかしこの原始反射は、随意運動が発達すると段々と消えていきます。

現れるべき時に現れない場合や消失する時期にまだ残存しているときは、赤ちゃんの発達の遅れにも繋がります。

そういった場合には、脳や神経系に異常があることを疑います。

 

モロー反射

赤ちゃんの頭を正面に向けて少し起こしたあと、急に頭を下げるとびっくりしたように両手を広げ、指もすべて伸ばして開き、続いて何かに抱きつくような左右対称の動作をします。

これがモロー反射です。急な大きい音に対して反応することもあります。

生後4~ 6か月頃までみられる正常な反応ですが、それ以降も反応が残っている場合は、脳の障害を疑います。

把握反射

手のひらにものが触れるとぎゅっと握りしめる把握反射を手掌把握反射といいます。

足の裏も同様で、足の裏を圧迫すると足指も含めて内側に曲がる反射がみられます。

手の把握反射はものを握ることができるようになる生後4ヶ月ごろになくなります。

足の反射は自分の足で立つようになる生後11ヶ月頃になくなります。

手掌把握反射がなくなることでモノが掴めるようになります。

また足底把握反射が消えることでつかまり立ちができるようになります。

 

哺乳反射

出生後すぐに母乳やミルクが飲めるのは、哺乳に関する一連の反射によります。

  • 探索反射

口の周辺を刺激すると、刺激の方向へ顔を向けて口を開きます。

乳首を探す動きでもあります。

  • 捕捉反射

口に乳首や指などやわらかいものが触れるとくちびると舌でとらえる動きがみられます。

これにより乳首をしっかりとくわえます。

  • 吸綴反射

口で乳首や指をくわえると,舌をリズミカルに動かして吸う動きです。

これは母乳やミルクなどを吸うための反射です.

このあとに現れる嚥下反射によって、たまった乳汁を飲み込みます。

 

緊張性頸反射

上を向いた状態で寝ている赤ちゃんの頭部を一方に向けると、顔を向けた側の手足を伸ばして、反対側の手足を曲げます。

生後 5 ~ 6 か月頃から消失していきます。

自動歩行

赤ちゃんの両側の脇の下を支えて,足の裏を軽く床に触れるようにして体を前かがみにさせます。

すると足を交互に動かしてまるで歩いているような動作をします。

この反射は生まれたばかりの頃にみられます。

 

バビンスキー反射

足の裏の外側をとがったものでかかとからつま先に向けて刺激すると、足の親指が外側に曲がり,ほかの指は扇のように広がります。

 

パラシュート反射

パラシュート反射は、中脳が発達する時期と同じころの生後8~9カ月ごろから始まります。

赤ちゃんの両脇を抱えてうつ伏せの状態に水平の状態を保ちます。

その後に赤ちゃんの頭を急に頭を下げると、両手を広げて体を支えようとします。

これがパラシュート反射です。

パラシュートで降りるときのように、両手を広げるのでパラシュート反射と言われています。

この反射があるおかげで、転んだときにとっさに手をついて骨折しないように体を守ることができます。

パラシュート反射ができるようになると、赤ちゃんは立つことができて、つたい歩きする準備ができているといえます。

 

赤ちゃんの発達遅れを考えよう

先ほどのAくんの症例を用いて、原始反射の有無から“発達”について考えてみましょう。

A君の記録

正期産(40w1d) 2900gで自然分娩出生。

その後の発育は正常範囲内。

頸定:3ヶ月 寝返り:5ヶ月 座位:7ヶ月

12ヶ月の現在でハイハイ・つかまり立ちをしない。

移動は座位の体制から足漕ぎ、お尻をするようにして移動する。

【追加情報】
足底把握反射あり、パラシュート反射なし

12ヵ月であれば、足底把握反射はみられず、パラシュート反射はみられているはずです。

A君の場合、消えるべき反射が消失せず、出てくるべき反射が出ていない状況です。

この場合は、この子が立てない理由は「脳神経系」にあると考えます。

 

疾患がある場合もあるため、クリニックから大きな小児科に紹介され、検査が必要になってきます。

原始反射の有無でなく、筋力が弱い、筋緊張がある…といった症状がある場合も同様で、検査が必要になることがあります。

 

シャフリングベビー

A君の症状で「ハイハイ・つかまり立ちをしない」以外の所見が正常であれば、シャフリングベビーの可能性が高いと考えられます。

シャフリングベビーとは、乳幼児期後半でも四つん這いやハイハイをせず、お座り姿勢のまま移動する赤ちゃんのことです。

ハイハイをしないことで不安に思うご家族も多いですよね。

シャフリングベビーの特徴

・うつ伏せが嫌い
・ハイハイをしない
・立たせようとしても足を床に付けたがらない
・脇を支えて持ち上げても足は伸ばさない

このような特徴が1歳前から見られると言われています。

2歳までには通常の歩行を開始し、その後の発達も正常であることがほとんどで、基本的には正常発達であると言えます。

一般的ではありませんが珍しいことではなく、個性的ではありますが異常ではないと考えられています。

しかし基礎疾患を持っている可能性もあるため、必ず歩行可能になるまでは経過観察が必要です。

 

まとめ

今回は、赤ちゃんの発達の遅れを知るためのポイントをお伝えしました。

赤ちゃんの発達は、乳児検診やクリニック受診の時などに確認されますが赤ちゃんが泣いていたり、そり返ってしまっていたりするとその一時点では判断することが難しい場合もあります。

日々の生活の中で赤ちゃんの変化に気づくことが重要になります。

「こんな動きがあった」「これができないけれど大丈夫かな?」といった疑問を持つことで気づけることも少なくありません。

気になることがある際は、動画や写真に残して相談することもできます。

日々の生活の中から赤ちゃんの発達の変化に気づけるようになりましょう。

また医療者の皆様もそういったご家族からの言葉を大切にしたいですね。

参考文献

三浦規雅(2018)『重症小児患者ケア ガイドブック』道又元裕,総合医学社
道又元裕(2014)『新 人工呼吸ケアのすべてがわかる本』照林社
渡辺嘉之(2017)『重症患者ケア』総合医学社
日本集中治療医学会.“人工呼吸器離脱に関する3学会合同プロトコル公開”https://www.jsicm.org/publication/kokyuki_ridatsu1503.html(参照2021-01-27)
看護roo!.“小児の人工呼吸器中の特徴と観察点は?”.https://www.kango-roo.com/learning/4601/(参照2021-01-27)

※ 本記事は、参考文献を元に執筆しております。

  • この記事を書いた人

ぴっぴ ✿︎

現役看護師 / 小児科 / 小児集中治療 / PALS資格所有 看護師として5年以上の経験を積んだ中堅看護師です。 お父さん、お母さんをそっとサポートできるような記事を書いています。 看護師向けに必要な知識も発信中。

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