集中治療

血液ガス分析と酸素化【あなたは苦手意識を持っていませんか?】

こんにちは。
小児集中治療室に勤務する看護師のpi ✿︎(@shinkan0607) です。
子どもを看る上での知識を発信しております。

血液ガス分析と聞くと苦手なイメージがありませんか?

私も、新人看護師の頃は苦手な分野のひとつでした。

しかし、小児の呼吸を評価する上では必要な知識になります。



血液ガス分析

血液ガスは、動脈血から採取され、呼吸・循環の状態を示す指標となります。

換気と酸素化、酸塩基平衡、嫌気性代謝などから呼吸の評価を行います。

ただ単に酸素化や換気能の良し悪しを示すだけではなく、全身状態を把握することができる優れた検査でもあります。

しかし、一時点のみの値では状態変化を知ることができないため、臨床的な症状の変化とともに経時的に評価を行なっていく必要があります。

血液ガスは、主に「酸素化・肺胞換気・酸塩基平衡」の3つの側面を評価するのに役立っています。

そしてこれらを評価するのに重要となってくるものが、pH、PaO2、PaCO2になります。

一般的に静脈血による酸素化の評価は難しいですが、pHは動脈血の血液ガス分析値と相関すると言われています。

また循環が良い場合は、静脈血PCO2と動脈血PCO2との差は4~6mmHg以内と言われています。(循環が悪い場合は、差が拡大するよ!!!)

正常な細胞は、酸素を使用して好気性代謝を行っていますが、酸素供給が不足すると酸素を使用しない嫌気性代謝へ移行します。

その際に、乳酸(Lactate)が産生されます。

血中乳酸値(Lactate)の正常値は2.0mmol/L未満で、4.0mmol/L以上は危険です。

乳酸値は、簡単にいうと低灌流状態を反映して上昇する数値。

ショックの際には、特に重要となる値なのでチェックしよう!

酸素化の指標(血液ガス分析)

PaO2(動脈血酸素分圧)とSaO2(動脈血酸素飽和度)

PaO2は動脈血液酸素分圧で示す値で、基準値は90~100mmHgです。

臨床では、PaO2の正常値は酸素化の指標として頻用されています。

PaO2は、肺胞から血管内に入り込み、血液中に溶け込んでいる酸素を示します。

つまり、ヘモグロビンと結合していない状態の酸素のことで血液内を自由に動き回っています。(酸素化していない状態なので何の意味もないです!)

血液中の酸素は、自由に動き回ることでヘモグロビンと結合します。この酸素と結合したヘモグロビンは、「酸化ヘモグロビン」と呼ばれます。

ヘモグロビンは、1分子で酸素4分子と結合することができ、4分子の酸素と結合した状態を「100%の酸素飽和状態」と言います。

(参考イメージ)

その酸素とヘモグロビンの結合状態を示したものを「SaO2(動脈血酸素飽和度)」と言います。

SaO2は、酸素との結合割合を示します。

SaO2は、割合であるため100%を超えることはないよ!

酸素がヘモグロビンに結合して体内で組織に酸素供給ができて初めて「酸素化が良い」と言えます。

血中に酸素があるだけでは酸素化が良いとは言えないため、酸素化の指標はSaO2になります。

酸素飽和度と酸素解離曲線

これらのPaO2とSaO2の関係性を表したものが酸素解離曲線になります。

SaO2(酸素飽和度)とPaO2(酸素分圧)は相関関係にあり、酸素分圧が高くなれば、酸素飽和度は上昇し、酸素分圧が低くなれば酸素飽和度は低下します。

一般的にPaO2が60mmHgの時にSaO2は90%であると判断できます。

酸素解離曲線を理解しておくと、パルスオキシメータによりSpO2を把握できれば、動脈血酸素分圧(PaO2を推測することができます。

SpO2 (経皮的酸素飽和度)

肺から取り込まれた酸素は、血液中のヘモグロビンと結合して、酸化ヘモグロビンとなり全身へ運ばれます。

この酸化ヘモグロビンの割合、つまり「動脈血のヘモグロビンの何%が酸素と結合しているか」を酸素飽和度と言います。

SpO2は、パルスオキシメーターによって得られる酸素飽和度の値です。

SaO2(動脈血酸素飽和度)は、動脈血の血液ガス分析によって得られる酸素飽和度の値です。

パルスオキシメーターは、赤色光と赤外光の2種類の光を用いて酸化ヘモグロビンと還元ヘモグロビンの吸光度の違いを利用して、酸素飽和度を測定しています。

そのため、正確な測定には指や手足などの組織を挟んで発光部と受光部が対光するように装着する必要がります。

SpO2=SaO2として臨床上は使用されています。そのため「SpO2が低い=SaO2が低い」という関係が成立します。

しかし、SpO2とSaO2の関係性は必ずしも成立しているわけではないため、SpO2が悪い時はPaO2はそれ以上に悪いことも考えられます。

換気の指標

PaCO2

PaCO2正常値は35~45mmHgです。

それよりも高ければ「高炭酸ガス血症」、低ければ「低炭酸ガス血症」と言います。

PaCO2は、0.863×VCO2(二酸化炭素生産量)/VA(肺胞換気量)で表されます。

①二酸炭素産生量 ②一回換気量 ③死腔容積 ④呼吸数で規定されています。

換気の目的は、PaCO2を正常化することではありません。

pHが保たれていれば、PaCO2の上昇を許容する場合もあるので、目標値を確認する必要があります。

またPaCO2の上昇は、肺血管を収縮させますが、脳では脳血管を拡張させてしまい脳灌流量の増加につながるため臨床では注意が必要です。

ETCO2 (end tidal carbon dioxide : 呼気終末二酸化炭素分圧)

ETCO2は、気道内で計測された呼気中に含まれる二酸化炭素濃度のことです。

カプノメータによって非侵襲的に連続的にモニタリングすることができます。

ETCO2とPaO2の差は、通常3~5mmHgの範囲で相関しています。ETCO2とPaCO2の値に差がある場合、死腔の増大やシャントの増大が考えられます。



チアノーゼ

チアノーゼとは、皮膚や粘膜が青紫色の状態をいい、毛細血管中の還元ヘモグロビンが5g/dL を超えると出現します。

貧血の場合には現れにくく、逆に赤血球増多の場合には現れやすくなります。

チアノーゼは、中枢性、末梢性、ヘモグロビン異常による血液性に分類されます。

チアノーゼの出現部位や中枢性、末梢性、血液性の分類を評価し、原因への介入と同時に必要に応じて、酸素投与や換気補助、安静や保温などを行う必要があります。

まとめ

血液ガス分析と酸素化の考え方は慣れるまでは難しく感じてしまいますよね。

しかし、小児の呼吸を多角的に評価する上では重要な視点になります。

臨床では、実際に呼吸悪化があった際などに血液ガス結果を見るようにクセをつけましょう!

そして 呼吸評価のポイント と合わせて確認していくようにしましょう。

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■ 看護師 / 小児集中治療 ■ 小児科ナース / PALS 資格所有 ■ 気付けば中堅クラスになっていました ■ 子どもを看るうえで必要な知識を発信します

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