集中治療

小児の体温管理

こんにちは。
小児集中治療室に勤務する看護師のpi ✿︎です。
子どもを看る上での知識を発信しております。

 

重症な小児患者において、全身状態を把握する上で体温は重要な指標となります。

体温調整の仕組みや低体温・高体温による生体反応について理解していきましょう。

ココがポイント

ここをおさえよう!
・小児は体温調節機構が未発達なため、容易に体温上昇や低下をきたす
・体温の異常には、低体温・発熱・高体温がある
・小児の状況に応じた保温と冷却方法を選択する必要がある
・発熱時の解熱療法に関する明確なエビデンスはなく、解熱療法については生体への影響を考慮して実施する

小児の体温調整の特徴

小児は、体温調節機構が未発達であるため、容易に体温上昇や低下をきたしやすいことが知られています。

 

体温調整の仕組み

体温には、核心温と外核温があります。

通常、核心温は、脳の視床下部にある体温調整中枢より37℃前後(セットポイント)に維持されています。

この37℃前後という温度は、細胞が機能するための酵素が反応できる最適温度になります。

体温調整中枢が、体温上昇と判断した場合には、発汗や末梢血管拡張を促進させ体温を低下させます。

体温低下と判断した場合には、シバリングや末梢血管収縮、非ふるえ熱産生により体温を上昇させます。

 

小児の体温調整の特徴

・体温調整中枢が未発達であり、外界の温度(環境温)の影響を受けやすい

・皮膚血管の温度に対する反応が緩慢である

・成人と比較して体表面積が広く、皮膚からの熱放散が大きい

・皮下脂肪が少なく、筋肉層も薄いため、熱放散が大きい

・筋肉が未発達であり、シバリングによる熱産生が期待できない

・主に褐色細胞組織内で非シバリング熱産生が行われる

以上のような特徴が小児にはあります。

小児は新陳代謝が盛んで、体重あたりの相対的な熱産生が多いため、成人と比較して体温の正常域が高くなります。

成長と共に熱産生が減少し、10~15歳でほぼ成人と同じ体温になると言われています。

 

 体温の測定部位

核心温(深部体温)を反映する指標として、血液温・膀胱温・食道温・直腸温は信頼性が高く、測定部位によって様々な特徴があります。

膀胱温の測定は、小児では侵襲が少なく比較的簡単な方法ですがカテーテルのサイズに限界があり、新生児や乳児では使用できません。

小児の病態(正確な体温測定が必要な状態か)、体温測定に与える影響因子(低体温療法やウォーマーの使用など)、使用可能な物品、安全・安楽性を考慮して、測定部位を選択していきます。

 

体温の異常

低体温

低体温とは、熱の産生よりも熱の放散が上回り、深部体温が36℃未満になった状態を言います。

低体温は、偶発性低体温と医原性低体温に分類されます。

 

発熱

発熱は、細菌などが体内へ侵入したことにより免疫細胞が活性化され、内因性発熱物質の産生が亢進して、セットポイントが上昇した状態です。

米国集中治療医学会、米国感染症学会から出されたガイドラインでは、38.3℃以上を発熱の定義としています。

特に感染症を誘発している場合の発熱には、病原菌の増殖抑制、白血球の機能促進、好中球による食用作用亢進、免疫応答の促進作用など、整体防御反応としての意義があるため、解熱療法の実施について慎重に検討しなければなりません。

熱が上がってきている、下げなければいけない!と安易に考えてはダメ。
「本人が機嫌が悪い、キツそう」と言った症状がなければ経過観察になることもあります!

 

小児では、基礎疾患を有していたり、年齢が低いほど感染症が重症化しやすいという特徴があります。

特に、3ヶ月未満の小児では、免疫応答システムが未熟、予防接種が未開始という理由から発熱時には重症感染症の可能性を疑う必要があります。

 

高体温

高体温は、セットポイントが変化することなく、体温調整機構の破綻により体温上昇をきたしている状態です。

高体温は、頭部外傷や脳腫瘍などの体温調節中枢の障害や、熱放散の限界を超えた熱中症、その他悪性高熱、甲状腺クリーゼなどが原因となります。

体温が42℃を超えると、全身の細胞が不可逆的に変化し、生命の危機的状況に陥ります。

高体温では、容易に体温が42℃を超えることがあるため、積極的に解熱療法を行う必要があります。

ココがポイント

積極的なクーリング、アセリオ等の使用を行う。さらに下げたい場合は、胃洗浄(冷たい氷水を作り胃の中へ投与し、回収する方法。内部から熱を下げる。)や輸液を冷やすなどの方法を取ることもある。

 

低体温への反応と対応

 

低体温が小児の身体へ及ぼす反応は以下の通りになります。

 

保温の方法

熱の喪失経路は、対流・放射・伝導・蒸散の4つでそれらを最小限にすることで、小児が低体温に陥ることを防ぐことができます。

チェック

臨床で工夫できること!
・室温の調整

・子どもの周りをタオルで囲む

・掛け物やビニールシートなどで調整する

・冷たい服やタオルなどを肌に当てないようにする

・温枕やホットパックを使用する

・気化熱による体温低下を防ぐために汗や水分を拭き取る

特に小児は、体表面積における頭部の占める割合が大きいため、頭部をタオルで保護する方法も有効です。

ココがポイント

機械を使用した表面保温や中心加温の方法!
・インファントウォーマーの使用

・温風式加温装置の使用

・加温輸液

・体外循環装置の熱交換機による加温

 

加温時には、使用する物品による熱傷などの皮膚トラブルに注意します。

また、加温することからの急激な末梢血管の拡張、血圧低下に伴うショックにも注意します。

血圧が低値で推移している場合は、加温しないこともあるよ!

その時の児のバイタルサインから必要性をアセスメントすることが大切。

 

高体温への反応と冷却方法

高体温による生体への影響は以下の通りです。

 

解熱療法の適応

発熱を認め、感染症が疑われる場合には、直ちに評価と感染症の診断を行います。

発熱時に解熱療法を行うかは、いまだに明確なエビデンスは存在していないため、臨床所見と合わせて検討していく必要があります。

解熱療法が有効な時は、発熱(セットポイントが上昇)している時と全身麻酔もしくは深鎮静により体温調節の域値が拡大している時です。

 

冷却解熱

冷却解熱には、以下の方法が挙げられます。

・冷却枕、氷枕の使用

・濡れタオルや冷風

・水冷式冷却装置(ゲルパットや冷却マット)

・持続的透析濾過療法を用いた直接冷却

・体外循環装置の熱交換器を用いた冷却

・胃洗浄

 

発熱時における体表クリーニング

セットポイントが上昇している場合、身体はセットポイントまで体温を上昇させようと熱産生(シバリング)を促進し、熱放散を減少(末梢血管収縮の促進)をさせます。

この時に体表クーリングで体を冷やされると、さらに熱産生を促進し、熱放散を減少させなければならない状況が生まれます。

この状態は、小児の不快感を増加させるばかりではなく、シバリングにより大きなエネルギーを消費することになります。

体表クーリングは、外表への冷却刺激であるためセットポイントを下げることはできません。

しかし爽快感を得る、不快感を軽減するというメリットもあるため、安楽促進で使用します。

さらに詳しく

シバリングは酸素消費量を増大させ、二酸化炭素や乳酸の増加を伴ったアシドーシス、心筋酸素量増加を招く。

小児の場合は、環境温度の影響を受けやすく、体表クーリングが解熱に有効な場合もあります。

 

薬物解熱

解熱剤として、主にアセトアミノフェンや非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)が使用されます。

 

発熱時には、脱水状態になっている場合が多いです。

そこに解熱剤を使用すると熱を放散させるため発汗や末梢血管拡張が起こり、循環血液量が減少して血圧低下をきたす可能性があるため注意が必要です。

特に幼少な小児では、発熱が熱性けいれんを誘発する場合があるため、高い体温でけいれん発作の危険性がある場合には、抗けいれん薬を使用する場合があります。

まとめ

小児にとっての体温異常は、生命の危機的状況に繋がる場合も多いためその他のバイタルサインを含めた評価が重要です。

また、発熱時の解熱療法に関する明確なエビデンスはなく、解熱両方については生体への影響を考慮して実施する必要があることを理解して臨床で取り組みましょう。

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■ 看護師 / 小児集中治療 ■ 小児科ナース / PALS 資格所有 ■ 気付けば中堅クラスになっていました ■ 子どもを看るうえで必要な知識を発信します

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