小児看護

【小児の呼吸】特徴を理解しよう。呼吸数の正常値、知っていますか?

  • 子どもの呼吸の正常って?
  • 子どもの呼吸数、どのくらいが普通?
  • 小児の呼吸の特徴は何?
小児集中治療室に勤務する看護師のpi ✿︎(@shinkan0607) です。
子どもを看る上で大切となる知識を発信しております。

 

この記事を読むと“小児の呼吸の特徴”について理解することができます。

 

この記事を読んでほしい方

  • 小児科に勤務されている看護師さん
  • 子どもの正しい呼吸評価を知りたい方
  • 子どもの正しい呼吸数を知りたいご家族


なぜ呼吸の評価が大切?

小児科で勤めている場合、子どもの【呼吸評価】はとても大切です。

 

それはなぜでしょうか?

 

新人看護師
子どもの呼吸は、悪くなるのが早いですよね…
さっきまで元気だった子が数時間後には挿管が必要になったりします。

 

そうなんです!!!

小児の心停止の原因は、呼吸原性であることが多いと言われています。

呼吸の異常が生じる心停止や循環の破綻に直結してしまいます。

そのため、小児の呼吸評価は大切な項目になります。

 

小児の呼吸の特徴

なぜ小児の呼吸は障害を受けやすいのでしょうか?

それを理解するためには、小児の解剖学的・生理学的特徴から考えていく必要があります。

 

解剖学的特徴

  • 頭部が大きく頸部が短い
  • 舌が大きく、口腔容積のほとんどを占める
  • 気道が狭く、浮腫や異物などで気流抵抗が大きい
  • 可動域が小さく、一回換気量が得られにくい
  • 肺胞は小さく、数も少ないため、ガス交換に有効な面積は少ない
  • 気道や肺胞間の側副換気系が未発達なため、無気肺や気胸を起こしやすい

小児の呼吸器系は構造的にも機能的にも未完成であり、特徴を把握しておく必要があります。

 

生理学的特徴

  • 乳児の呼吸様式は、鼻呼吸・腹式呼吸
  • 乳児は鼻呼吸に依存している
  • 鼻腔が狭く気道抵抗は高く、呼吸努力は増大する
  • 小児の胸郭は発達が不十分で、胸郭が柔らかい
  • 胸郭のコンプライアンスが高く、吸気努力の増大に伴い、陥没呼吸が出現しやすい
  • 容易に肺が虚脱する
  • 腹腔内圧上昇により容易に呼吸抑制をきたす
  • 呼吸努力が強い状況で容易に呼吸筋疲労が起こる

小児は予備力が少なく、呼吸筋疲労をきたしやすいです。

また吸気努力や腹満による呼吸抑制なども起こしやすいため注意しましょう。

 

発達に関連した特徴

  • 空腹や家族との分離、恐怖心による啼泣から呼吸が悪化する
  • 成長や活動量の増大にともない、気道の器質的異常が顕在化することもある
  • 自分で呼吸苦を訴えることができない

大人と大きく違うポイントのひとつとして

小児は、自ら症状を訴えることができない場合が多いです。

発達の程度や子どもの変化に注意し、繰り返して呼吸評価を行う必要があります。

 

評価を繰り返し行うことで子どもの小さな変化に気づくことができます。 それらが子どもの一番そばにいる看護師の役割ですね。

 


小児の呼吸を評価するために理解すべきポイント

小児の呼吸の特徴でもお話ししましたが子どもの呼吸が悪くなるのは早いです。

注意した観察が必要となるため、以下の呼吸評価の項目は理解しましょう。

 

呼吸数

小児では、年齢によって正常な呼吸数は異なります。

年齢別 呼吸数の正常目安(回/min)

新生児

35~70

乳児(1~12ヶ月)

30~53

幼児(1~3歳)

22~37

就学前(4~5歳)

20~28

学童(6~12歳)

18~25

成人(13~18歳)

12~20

 

小児は成人と違い、深呼吸を行って代償することは難しいため、呼吸数を増やして代償します。

さらに酸素消費量が多く1回換気量は少ないため、月齢・年齢が小さいほど呼吸数は多くなります

 

年齢を問わず子どもの場合は、60回/min以上の頻呼吸は異常と認識しましょう。

呼吸数が多ければ、何らかの呼吸の異常があることを容易に疑えます。

 

呼吸の異常

頻呼吸・徐呼吸・無呼吸の定義を理解しましょう。

 

頻呼吸・徐呼吸・無呼吸の定義

 

定義

注意点

原因

頻呼吸

呼吸数が年齢相応の正常値より多い場合 呼吸窮迫の最初の兆候である。
ストレスに対する反応の場合もある。
高熱、疼痛、貧血
チアノーゼ性心疾患、敗血症、脱水

徐呼吸

呼吸数が年齢相応の正常値より少ない場合 呼吸筋疲労、呼吸調整中枢に影響する中枢神経系の障害、重度の低酸素症、重度のショック、低体温

無呼吸

呼吸が止まった状態で15秒以上経過した場合 中枢性と閉塞性に分類される。
低酸素血症や高炭酸ガス血症、あるいはその両方を引き起こす可能性がある。
脳または脊髄の異常
呼吸努力はあるが気流がない

 

生後6週頃までは新生児無呼吸*1を場合があります。

*1新生児無呼吸:20秒を超える呼吸停止、または20秒未満であっても徐脈をともなうものと定義される

 

呼吸リズム

呼吸中枢による調整を受け、随意的・不随意的に呼吸は行われています。

呼吸中枢が未熟な新生児や中枢神経系の異常があれば呼吸のリズムに変化が現れます。

呼吸サイクルにおける吸気と呼気のバランスは、1:1と言われています。

どちらかの延長や休止時間の消失は、何らかの異常を示しています。

 

呼吸様式と努力呼吸

呼吸様式の変化は、肺コンプライアンスの低下(肺炎、肺水腫など)や気道抵抗の上昇(分泌物の貯留、細気管支炎、気管支喘息など)に伴い生じます。

 

小児では、肋間筋を有効に使うことができず、胸郭コンプライアンスが高い(胸郭が柔らかい)ため、様々な呼吸様式の変化を呈します。

 

そのため、細やかな観察と評価が必要になります。

努力呼吸の有無を観察することで、呼吸不全の出現や増悪に気づくことができます。

 

普段使用していない呼吸補助筋を使用して呼吸をしている時に呼吸努力が生じます。

  • 肩呼吸
  • 下顎呼吸
  • 鼻翼呼吸
  • 陥没呼吸:胸骨上・鎖骨上・胸骨下・肋間・肋間弓下など

これらの部位を特に注意して観察して呼吸評価を行います。

 

頑張って呼吸をしているな、と感じたら注意して観察してみましょう。

小児では、頸部や季肋部の陥没呼吸、鼻翼呼吸が分かりやすいです。

 

呼吸音

呼吸音は、聴取する部位によって変化します。

肺音は呼吸音と複雑音の2つに分類されます。

呼吸音は「気管音・気管支肺胞音・肺胞音」の3種類に分類されます。

複雑音の分類

区別の仕方

名称 音のイメージ

代表的な病態

断続性

細かい音

Fine crackles
捻髪音

パリパリ
パチパチ
開きいくい肺胞が吸気終末に何とか開く時の音 間質性肺炎
肺繊維症
粗い音

Coarsecrackles
水泡音

ブツブツ
プツプツ
分泌物による水の膜や泡に空気が通過する時の音 肺水腫
肺炎

連続性

低い音

rhonchi
いびき音

グーグー

太い気道にある分泌物が空気の通過によって振る音 痰貯留
太い気管支の狭窄
高い音

wheeze
笛音

ヒューヒュー
ピーピー

空気が細い気管を通過する時の音 気管支喘息


吸気時のみに聞こえる複雑音

名称

音のイメージ

代表的な病態

stridor

グーグー
ゼーゼー
咽頭や中枢側の気管支の狭窄は閉塞によって生じる低調な音 上気道狭窄
アナフィラキシー

無気肺*1ができると、中枢側でしか聞こえないはずの気管音や気管支音が末梢肺野で聴取されます。

呼吸音ではない音を複雑音と言います。

肺病変や起動狭窄により複雑音を聴取する場合がります。

 

患者の病態と合わせて複雑音を把握することで

病態の改善・悪化などの経過を予測し、介入していきます。

*1無気肺:肺の含気量が低下して容量が減少した状態。分泌物による閉塞だけでなく、肺への圧迫(胸水・気胸など)や肺拡張障害(肺水腫・肺繊維症など)によっても生じる。

 

胸部単純X線画像

胸部単純X線画像では、肺容積(過膨張、虚脱など)・肺野透過性・肺血管陰影を確認します。

ほかにもチューブやドレーンの位置なども同時に確認します。

レントゲン画像を確認して無気肺の予防や改善に努めよう!

 

呼吸仕事量と呼吸筋疲労の関係

呼吸仕事量の増大は、主に肺胸郭コンプライアンスの低下と気道抵抗の上昇によって起こります。

  • 分泌物や浮腫、気道収縮などの気道径の狭小
  • 興奮や啼泣による気道抵抗の上昇
  • 気胸や胸水(肺外の要因)
  • 肺炎やARDS(肺内の要因)

小児の細い気道では、これらが要因となって呼吸仕事量が増加します。

 

呼吸仕事量の増加を代償できない場合には、呼吸筋疲労をきたし、換気不全に陥ります。

 

要するに肺のコンプライアンスの低い小児患者では、容易に呼吸仕事量が増加するよ!その結果、呼吸筋疲労をきたし、換気不全になることが多いので注意した観察を行うことが大事だね。

 

多角的に呼吸を捉える

呼吸様式や努力呼吸の観察・呼吸音の異常音の聴取は、呼吸をアセスメントする上で重要なフィジカルイグザミネーションです。

しかし呼吸は、生命維持に必要な酸素を血中に取り込み、全身で利用されてはじめて機能していると言えます。

呼吸音の聴取だけでは、含気の異常や血中への酸素移行の程度を知ることはできません。

そのため、血液ガスデータを含めた評価が重要となります。

 

詳しくはコチラ

 

チアノーゼの有無や酸素飽和度(SpO2)、胸部X線検査所見などからも情報を得て、多角的に呼吸の評価をすることが重要です。


まとめ

子ども達の一番近くにいる看護師だからこそ、早い段階で呼吸の変化に気づけます。

  • 小児の呼吸の特徴を理解する
  • 呼吸の正常を知る
  • 多角的に呼吸を捉えて評価する

小児の呼吸の特徴と評価のポイントを踏まえて取り組んでいきましょう。

参考文献

三浦規雅(2018)『重症小児患者ケア ガイドブック』道又元裕,総合医学社
道又元裕(2014)『新 人工呼吸ケアのすべてがわかる本』照林社
渡辺嘉之(2017)『重症患者ケア』総合医学社
日本集中治療医学会.“人工呼吸器離脱に関する3学会合同プロトコル公開”https://www.jsicm.org/publication/kokyuki_ridatsu1503.html(参照2021-01-27)
看護roo!.“小児の人工呼吸器中の特徴と観察点は?”.https://www.kango-roo.com/learning/4601/(参照2021-01-27)

※ 本記事は、参考文献を元に執筆しております。

  • この記事を書いた人

ぴっぴ ✿︎

現役看護師 / 小児科 / 小児集中治療 / PALS資格所有 看護師として5年以上の経験を積んだ中堅看護師です。 お父さん、お母さんをそっとサポートできるような記事を書いています。 看護師向けに必要な知識も発信中。

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