小児看護

小児の呼吸評価(2)

小児の呼吸器系は、解剖学的・生理学的な特徴により予備力が乏しいですよね。

そのため子どもの呼吸状態の悪化は早く、容易に呼吸不全の状態に陥ります。

呼吸不全になる前に「何かおかしい」「経時的に変化してきている」などと早期に気づき、介入していくことが重要です。

その際に必要となる評価のポイントを考えてみましょう。



小児の呼吸評価

呼吸数

小児では、年齢によって正常な呼吸数は異なります。

年齢を問わず、60回/min以上の頻呼吸は異常です。

小児は、肋骨・横隔膜が水平にあるため深呼吸での代償は難しいため、呼吸回数を増やして代償します。

成人に比べて酸素消費量が多いことや一回換気量が少ないことから月齢・年齢が小さいほど呼吸数は多くなります

呼吸数が多ければ、何らかの呼吸の異常があることを容易に疑うことができます。

しかし気道閉塞や狭窄などを伴う場合は、吸気や呼気の時間が延長するために1分間あたりの呼吸数の増加は起こりません。

呼吸数のみでは呼吸悪化を判断することはできないため、複合的にアセスメントを行い判断していく必要があります。

また、頻呼吸・徐呼吸・無呼吸の定義を理解しておくことも大事です。

呼吸リズム

呼吸中枢による調整を受け、随意的・不随意的に呼吸は行われています。

呼吸中枢が未熟な新生児や中枢神経系の異常があれば呼吸のリズムに変化が現れます。

呼吸サイクルにおける吸気と呼気のバランスは、1:1と言われています。

どちらかの延長や休止時間の消失は、何らかの異常を示しています。

呼吸様式と努力呼吸

呼吸様式の変化は、肺コンプライアンスの低下(肺炎、肺水腫など)や気道抵抗の上昇(分泌物の貯留、細気管支炎、気管支喘息など)に伴い生じます。

小児では、肋間筋を有効に使うことができず、胸郭コンプライアンスが高い(胸郭が柔らかい)ため、様々な呼吸様式の変化を呈します。

そのため、細やかな観察と評価が必要になります。

努力呼吸の有無を観察することで、呼吸不全の出現や増悪に気づくことができます。

普段使用していない(または使用していてもあまり目立たない)呼吸補助筋を使用して呼吸をしている時、それは呼吸努力として観察されます。

肩呼吸や下顎呼吸は、肩や頸部の周囲にある呼吸補助筋を使って胸郭をさらに吊り上げて強い陰圧を作り出している時に出現します。

また陥没呼吸が起こり易い場所は、胸骨上・鎖骨上・胸骨下・肋間・肋間弓下などになります。

軟らかい組織が内側に引き込まれることによって生じる陥没は、硬い部分の周囲に出現します。

呼吸音

呼吸音は、聴取する部位によって変化します。

普段聴いている肺音は、呼吸音と複雑音の2つに分類されます。
呼吸音は正常な音で、「気管音・気管支肺胞音・肺胞音」の3種類に分類されます。

大きな範囲に無気肺*1ができると、中枢側でしか聞こえないはずの気管音や気管支音が末梢肺野で聴取されます。

呼吸音ではない音を複雑音と言います。肺病変や起動狭窄により複雑音を聴取する場合がります。

患者の病態と合わせて複雑音を把握することで病態の改善・悪化などの経過を予測し、介入していきます。

気道の狭窄部を空気が通過する時に乱流が生じると喘鳴が起こります。

この狭窄は、器質的な狭窄だけでなく、気道組織の軟化によっても生じます。
大気圧や胸腔圧により軟化部位の気道が内側に圧迫され、狭窄状態となります。

*1無気肺:肺の含気量が低下して容量が減少した状態。分泌物による閉塞だけでなく、肺への圧迫(胸水・気胸など)や肺拡張障害(肺水腫・肺繊維症など)によっても生じる。

胸部単純X線画像

胸部単純X線画像では、肺容積(過膨張、虚脱など)・肺野透過性・肺血管陰影のほかにチューブやドレーンの位置なども確認します。

レントゲン画像を確認して無気肺の予防や改善に努めよう!

呼吸仕事量と呼吸筋疲労の関係

呼吸仕事量の増大は、主に肺胸郭コンプライアンスの低下と気道抵抗の上昇によって起こり、換気量の変化や呼吸数の変化、呼吸様式の変化として現れます。

小児の細い気道では、分泌物や浮腫、気道収縮などの気道径の狭小意外にも、興奮や啼泣などによる気流の乱流によっても気道抵抗が上昇し、呼吸仕事量が増加します。

肺コンプライアンスの低い(肺が硬い)小児では、肺胞を膨張させるためにより高い努力が必要となります。

コンプライアンスを低下させる肺外の要因は、気胸や胸水などです。

肺内の要因は、肺炎やARDSなどになります。

小児では、横隔膜が主な呼吸筋であるが腹部膨満などにより容易に横隔膜運動が妨げられます。

また未熟な肋骨筋や呼吸補助筋により換気効率が低く、代償機能が期待できません。

そのため、呼吸仕事量の増大を代償しにくい状況にあります。

呼吸筋疲労に強いI型線維の割合も少なく、呼吸仕事量の増加を代償できない場合、容易に呼吸筋疲労をきたし、換気不全に陥ると言われています。

要するに肺のコンプライアンスの低い小児患者では、容易に呼吸仕事量が増加するよ!

その結果、呼吸筋疲労をきたし、換気不全になることが多いので注意した観察を行うことが大事です。

 

多角的に呼吸を捉える

呼吸様式や努力呼吸の観察・呼吸音の異常音の聴取は、呼吸をアセスメントする上で重要なフィジカルイグザミネーションとなります。

しかし呼吸は、生命維持に必要な酸素を血中に取り込み、全身で利用されてはじめて機能していると言えます。

呼吸音の聴取だけでは、含気の異常や血中への酸素移行の程度を知ることはできません。

そのため、血液ガスデータを含めた評価が重要となります。(次回で説明します!)

さらに、小児の胸壁は薄いため他の領域の呼吸音が伝播しやすく、気胸や気管チューブの位置不良、無気肺などを聴診のみで発見することは困難となります。

チアノーゼの有無や酸素飽和度(SpO2)、胸部X線検査所見などからも情報を得て、多角的に呼吸の評価をすることが重要です。



まとめ

「小児の脳は成人の脳より代謝が活性化しているため、不十分な酸素化や換気を意識の異常として鋭敏に反映する」と言われています。

呼吸の異常を疑った場合には、不穏や興奮、傾眠傾向の有無や表情なども同時に観察を行うようにしましょう。

新生児や乳児では、啼泣や声の大きさ、泣き方に注目することで気道開通の程度や換気量の異常を推察することもできます。

子ども達の一番近くにいる看護師だからこそ、早期に呼吸の変化に気づくことができます。

そのためにも、今回の呼吸評価のポイントを踏まえて取り組んでいきましょう。

また呼吸評価の際に必要となる知識の「血液ガス分析と酸素化」については
こちらをご参照ください。

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■ 看護師 / 小児集中治療 ■ 小児科ナース / PALS 資格所有 ■ 気付けば中堅クラスになっていました ■ 子どもを看るうえで必要な知識を発信します

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