小児看護 集中治療

小児の循環評価

循環器の疾患に対して苦手意識はありませんか?

私は、PICUに新卒で入職しましたが循環器と心臓外科疾患の理解は、長い間苦手意識を持っていました。

それは、基本的な循環の考え方が未熟だったためでした。

これを克服するためには、看護師として必要となる基本的な循環の考え方を知る必要があります。

今回は、循環の考え方を知るためのアセスメントのポイントをまとめています。

循環のアセスメントをする意義

循環の主な目的は、全身の組織へ酸素を供給し、細胞代謝を維持、その副産物を除去することです。

全身への酸素供給量は、血液の酸素の取り込みとその血液を全身に送りだす心拍出量で決まります。

心拍出量は、一回拍出量と心拍数によって決まり、一回拍出量は心収縮力・前負荷・後負荷の要素で決まります。

 

循環動態を評価する指標

臨床で患者さんの循環を評価するために必要となる指標について考えていきましょう。

どういった知識があれば、循環の評価ができるでしょうか?

心拍出量(CO)

循環が成り立っているかを知るためには、血液を送り出すポンプの役割をしている心臓からどのくらいの血液が排出されているかを知ることが必要となります。

これを心拍出量(CO:cardiac output)といい、1分間に心臓から大動脈へ送り出される血液量を示しています。

小児は、エネルギー代謝量が活発なため、体重あたりの酸素消費量は大きくなります。

そのため体重あたりの心拍出量も新生児200ml/kg ,乳幼児150ml/kg,学童期100ml/kgであり、成人70ml/kgと比べると多くなります。

成人と比べて一回拍出量は少ないため、安静時でも心拍数は高くなりますね。

心拍出量の規定

心拍出量は心拍数(HR)と一回拍出量(SV : stroke volume)の影響を受けています。

心拍出量は、心拍数または一回拍出量が増えることで増加し、逆に心拍数または一回拍出量が減ることで減少します。

循環血液量と心拍数の関係は、以下の通りです。

一回拍出量

一回拍出量とは、心臓の一度の収縮により拍出される血液量を示しています。

一回拍出量は、前負荷・後負荷・心収縮力の影響を受けて変化します。

前負荷とは、拡張期の心室の充満度のことで、心臓に戻る血液量の影響を受けます。

右心室にとっての前負荷は全身循環からの静脈寒流に依存しています。

左心室にとっての前負荷は、肺静脈灌流に依存します。

後負荷とは、心室が血液を送り出すときに必要な圧力のことで、末梢血管抵抗の影響を受けています。

右心室にとっての後負荷は肺動脈圧、左心室にとっての後負荷は大動脈圧になります。

心拍数

小児では成人と比べて一回拍出量が少ないこと、体重あたりの循環血液量が多いことから、月齢・年齢が小さいほど心拍数は多くなります。

新生児期や小児は心筋コンプライアンスが低く、交感神経系機能が未熟であることから一回拍出量を増加させることは困難です。

そのため、小児の心拍出量の低下の際には心拍数に依存していて、心拍数を増加させて代償しようとします。

啼泣・興奮などの明らかな誘因がなく、時間経過と共に心拍数が増加する時はなんらかの異常を示している可能性が高いため注意が必要だよ!

 

頻脈では、拡張機の時間が短縮されます。

拡張時間が短くなると心室に十分な血液を充満させることができずに次の収縮が起こるため、一回拍出量は低下します。

冠動脈への灌流は拡張期に行われるため、長時間の頻脈は心筋虚血傾向になってきます。

徐脈だけでなく、頻脈でも心拍出量の低下に繋がるため

注意が必要になるよ!

 

徐脈は、心拍出量の著明な低下に繋がります。

特に新生児の心筋は低酸素に弱いため、呼吸不全などによる低酸素状態では心拍数は低下してきます。

血圧が正常域であっても頻脈が持続しているのであれば循環不全を疑って原因検索を行う必要があるよ!!

 

徐脈と頻脈の主な原因は、以下の通りです。

血圧

血圧は、血液が血管内壁に及ぼす圧力のことです。

「血圧=心拍出量×末梢血管抵抗」と表されます。

末梢血管抵抗が一定である時の血圧は、心拍出量を反映しています。

ココがポイント

私たち看護師が日々行っている血圧測定は、全身への血液の循環が滞りなく行われて入りかどうかを把握している事になります。
血圧はさまざまな因子の影響を受けるため、血圧が維持されているからといって必ずしも心拍出量が維持できているとは言い切れないため注意が必要です。

 

小児の血圧の目安は、以下の通りです。

末梢血管抵抗(SVR)

末梢血管抵抗(SVR : systemic vascular resistance)とは、血液の流れやすさを示しています。

血管内の面積・血管の粘性(ドロドロなのかサラサラなのか)・動脈壁の緊張度(弾性)により決まります。

血管収縮薬を使用すると血圧は上昇しますが、それは血管収縮により血管面積を減少させることで血管抵抗が上がったことを意味しています。

動脈圧(ABP)

動脈圧(arterial blood pressure : ABP)は、収縮期と拡張期の血圧から表されます。

収縮期血圧は、心拍出量とそれを押し出す心収縮力、それに対する血管抵抗によって決まります。

拡張期圧は、大動脈の収縮により血液を抹消に送り出す力と血管抵抗によって決まります。

収縮期圧は心収縮や後負荷の指標として、拡張期圧は冠動脈灌流の維持に、平均血圧は臓器灌流の指標として重要となります。

動脈ラインを留置して持続的に血圧のモニタリングをするよ。
実測と解離がないか必ず確認しよう!

 

中心静脈圧(CVP)

中心静脈圧(central venous pressure : CVP)は、右房の近くの胸部大静脈血圧を示しています。

基準値は、4~8mmHg程度です。

右室拡張末期圧(RVEDP)に等しいと言われており、前負荷の指標として重要となります。

ココがポイント

CVPは、心拍出量低下や体位、呼吸などの影響でも変化します。
数値だけでなく経時的な変化と臨床所見を合わせて評価しましょう。

まとめ

循環の指標は、さまざまな因子の影響を受けるため数値だけで判断を下すには限界があります。

PICUに入室される患者さんは、年齢・月齢が多岐にわたり、体重・体格も様々です。

「小児」という一つの括りで数値を評価することは困難であるため、子ども自身を理解した上でアセスメントを行うことが重要です。

苦手意識を克服できるように頑張りましょう!

  • この記事を書いた人
アバター

pi ✿︎

■ 看護師 / 小児集中治療 ■ 小児科ナース / PALS 資格所有 ■ 気付けば中堅クラスになっていました ■ 子どもを看るうえで必要な知識を発信します

-小児看護, 集中治療

© 2020 PI+ICU NURSE BOOK Powered by AFFINGER5