医療ニュース

新型コロナウイルスとECMO

こんにちは。
小児集中治療室に勤務する看護師のpi ✿︎です。
子どもを看る上での知識を発信しております。

 

最近、ECMOという言葉をニュースなどでよく耳にしませんか?

新型コロナウイルスの治療の一つですが、どういったことをしてるのでしょうか?

実際に臨床でECMO管理をしている看護師の立場から分かりやすくお伝えしたいと思います。

新型コロナウイルス(COVID-19)の動向

新型コロナウイルスが世界で発覚してから早いことで半年以上が経ちました。

現在の東京都内の感染者数は200人以上と増えてきていますね。

 

2020年1月より世界中を脅かしてきた新型コロナウイル(COVID-19)感染症

日本でも2月にクルーズ船内で感染者が増えていきました。

2月末には全国の学校が一斉休校になり話題にもなりました。

そんな中、日本中に新型コロナウイルスの危険性が本格的に認知されていった3月。

 

そして、3月の下旬に志村けんさんがお亡くなりになりました。

全国での衝撃と悲しみが襲い掛かったように思います。

それと同時に、新型コロナウイルスの脅威性についてメディアでも取り上げられていきました。

その頃からでしょうか?

ECMOという言葉が一般的に使用されるようになっていきました。

ECMOは、「新型コロナウイルスで肺炎になった重症患者を治療する上での最後の砦」とも言われています。

 

メディアをいくつ見ても「ECMO」も文字が並んでいます。

正直、ECMO管理に携わっている医療者は、目を疑うレベルです。

それほどまでもECMOが注目される日が来るとは全くもって思っていませんでした。

 

集中治療室で働いていなければ「ECMO」と私も出会わなかったと思います。

医療者以外の方は、集中治療室に関与(入院も含めて)していなければ出会いません。

医療者ですら限られた方しか出会うこともありません。

 

そんなECMOがニュースで取り上げられているのです。

正直、衝撃でした。

 

ECMOってそもそも何?

ECMOという言葉はよく耳にしますよね。

実際に新型コロナの治療と言われていますが、どのようなことを行っているのでしょうか?

ECMO(=Extracorporeal Membrane Oxygenation)とは、体外式膜型人工肺のことを指します。

 

ECMOを使用することで、呼吸及び循環が破綻し重篤な状態の際に、呼吸・循環の代替を行い生体機能の回復を待つことができます。

さらに詳しく

簡単お伝えすると、身体の外で肺の代わりをする機械を使用して、酸素を取り込み、生命を繋ぐというイメージです。

 

実際には、患者の静脈あるいは動脈から血液を脱血し、人工肺でガス交換された血液を動脈系あるいは静脈系に送血するシステムで酸素化を担っています。(=肺や心臓の代わり)

 

ガス交換された血液を

動脈に送血する場合(VA-ECMO)は、呼吸補助効果と循環補助効果が得られます。

静脈に送血する場合(VV-ECMO)は、呼吸補助効果が得られます。

 

新型コロナ対応で多く使われているECMOは呼吸補助目的になるのでVV-ECMOが多いです

 

人工呼吸とECMOの違い

新型コロナへの治療法として、人工呼吸器とECMOが挙げられます。

この治療法として、人工呼吸器の使用とECMOの使用では何が具体的に違うのでしょうか?

人工呼吸器による治療というのは、痛んだ肺を使いながらも機械のサポートを受けつつ呼吸を行うということです。

要するに、酸素化については患者さん自身の肺が行います。

「肺自体は傷んでいるけれど、まだ使用することはできる。そのためのサポートを人工呼吸で行う」といったイメージになります。

 

一方でECMOを用いた治療は全く異なります。

ECMOでの治療は、太い管を身体に挿入して血液を身体の外に取り出して「人工肺」と言われるECMOの機械の中で酸素化を行います。

要するに、体外の機械によって酸素と二酸化炭素の交換が行われるということです。

そして、酸素化された血液を身体に戻します。この場合、患者さん自身の肺は使用されず「休める」ことができます。

さらに呼吸器の設定を最低限まで落とし、lung rest(=肺の休息)という状態を作り出します。

このようにして、患者さん自身の肺が回復するのを待ちます。

 

ECMOの管理ってどうするの?

24時間体制でECMOを稼働させるため、ECMO管理のできる医師及び看護師が24時間勤務する必要があります。

基本的には集中治療室(ICU)で管理されており、一般病棟ではECMO管理を行うことはできません。

ECMOの管理を行うには、ECMOの知識がないといけません。

この知識を持った医師、看護師は全国でみても多くないことが現状です。

 

コロナと医療崩壊

実際に、ICUでECMO管理ができる看護師も50%いたら良い方かと思います。

人工呼吸器管理についても同様です。

知識を持って管理できる医療者が多くはないという現状があります。

ココに注意

全ての医師が的確に人工呼吸器管理ができるわけではありません。

全ての看護師が的確に人工呼吸器管理ができるわけではありません。

 

それが故に、医療崩壊が叫ばれ続けています。

 

ECMOであっても、人工呼吸器であってもしっかりとした知識を習得したのちに>臨床で症例数をこなしたからこそ「安全にみれる」のです。

そして、患者さんはそれを求めています。

 

そうなると「医療崩壊」の本当の意味が分かりますよね。

「医者がいればいい、看護師がいればいい」ではないです。

しっかりとした管理ができる、患者を安全にみれる医療者がいなくては意味がないのです。

 

これが「コロナと医療崩壊」の本質的な問題であると言えます。

さらに医療崩壊が起きるとコロナではない人も死ぬことに繋がります。

治療が必要な方は新型コロナ感染者だけではありません。

それ以外の病気で人工呼吸器が必要な人もいますし、心臓の疾患でECMOの治療を受けている人もいます。

ICUが新型コロナ患者で埋まっていくと、それ以外の重症患者さんの行き場がなくなります。

コロナが広がることで、他の病気の方が助からない。これが本当の医療崩壊です。

これを回避するためにも、コロナの蔓延や第二波を防ぐことが重要になってきます。

 

新型コロナウイルスに感染しないために

幸いにも、現時点では4月ほどの陽性率ではありません。

しかし一時期は1%台まで下がっていた陽性率も最近では5%まで上昇してきています。

これが何を意味するのか、今後の医療体制はどうなっていくのか。

考えるだけでも少し怖いように思います。

 

では、いまの私たちに何ができるのでしょうか?

・手洗い
・健康管理
・定期的な換気、適度な湿度を保つ
・正しくマスクを着用する
・咳エチケットを守る
・集団感染を起こさないために蜜を避けて外出をする

 

一般的に言われていることですが、それを個人が守ることでリスクを抑えることができます。

そして少しでも多くの人に「ECMO管理」や「医療現場の実際」について理解していただけると幸いです。

 

 

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■ 看護師 / 小児集中治療 ■ 小児科ナース / PALS 資格所有 ■ 気付けば中堅クラスになっていました ■ 子どもを看るうえで必要な知識を発信します

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