集中治療

重症小児のECMO(エクモ)管理 【合併症と家族看護】

こんにちは。
小児集中治療室に勤務する看護師のpi ✿︎(@shinkan0607)です。
子どもを看る上での知識を発信しております。

V-A ECMOは心肺機能、 V-V ECMOは肺機能の一部もしくは全部を補助することができましたよね。

回路の特性や各回路内での変化の意味を理解し、患者への影響と関連付けてアセスメントすることは重要になります。

今回は、ECMO(エクモ)管理時の合併症と家族看護について説明していきます。



抗凝固薬の使用

ECMO(エクモ)施行中は、安全な管理のため抗凝固薬の投与とそのモニタリングが必要となります。

抗凝固薬はヘパリンが最も一般的に用いられています。(小児の場合は、ナオタミンも多い)

 

術後や外傷、易出血傾向の強い患者では、大量出血による合併症を防ぐため凝固能の目標値を低めで設定します。

アンチトロンビンⅢ(ATⅢ)が欠乏している患者の場合、FFPの投与によりATⅢが補充され過凝固が正常化することもあります。

 

凝固能モニタリング

ECMO(エクモ)施行中の抗凝固薬の調整の指標としてはACTが用いられています。

ACT目標値は、180~200秒で設定されています。

ACTに起因する因子!
・ECMOポンプによる溶血や回路内での血小板の消費
・血小板やFFPの輸血による凝固能の改善
・尿量の増加やRBC輸血によるヘマトクリットの上昇
・体温の低下

これらによりヘパリンの必要量は増える可能性があります

 

易出血状態

ECMO(エクモ)に伴う抗凝固薬の使用、あるいは患者自身の凝固線溶系の障害から易出血状態となります。

患者の凝固能の異常、血小板減少、貧血の有無を把握する必要があります。

ココがポイント

観察ポイント!
頭蓋内出血、肺出血、消化管出血、皮下出血、口鼻腔出血、ライン・ドレーン留置部位からの出血の有無、神経所見、外見所見など

カニューレ周囲から出血がある場合は、ガーゼカウントを行い出血量を把握する必要があります。

また、原則としてライン抜去、ドレーン抜去、チューブ類の入れ替え、浣腸などの侵襲的な処置は患者の凝固能や血小板数を確認し、凝固能が十分であるときに行うようにします。

 

感染症対策

ECMO(エクモ)施行中のカテーテル挿入時には、創部感染予防の抗菌薬の投与が望ましいです。

投与量は、循環血液量が多いことも考慮して調整します。(TDM可能な方が良い!)

体外循環により体温の低下が考えられるため発熱しない場合もあることを注意します。

ココがポイント

観察ポイント!
・カニューレ挿入部位の感染徴候(腫脹・発赤・熱感)がないか
・創部、ドレーンの排液の性状
・全身の保清、清潔環境の提供

 

水・電解質管理

輸液管理

脱血不良を避けるため血管内脱水とならない管理を行います。

脱血圧が低下してきた際には、回路の折れ曲がりや位置異常などを確認するとともに循環血液量を評価し、必要に応じて細胞外液を投与します。

回路の震えも脱血不良の指標となります。

 

利尿薬

ECMO(エクモ)導入前、導入時は多量に輸液負荷がなされていることが多いです。

ECMO(エクモ)導入後、循環動態が落ち着いた後には利尿剤を用いて利尿を図る必要があります。

ただし、透析導入している場合は除水で対応することもできます。(この場合が多い!)

 

血液浄化療法

ECMO(エクモ)が必要となる重症患者では、大量輸液、輸血による電解質異常・アシドーシスに加えて、循環動態安定後に利尿が必要なことが多いです。

また同時に急性腎不全をきたしていることもあるため、ECMO(エクモ)導入後には同時に血液浄化療法が導入されることが多いです。



血液管理

赤血球(RBC)

ECMO(エクモ)ポンプによる溶血や創部からの出血(特に開胸によるカニュレーションの場合)、新生児や乳児での頻回な採血などによって貧血が進行し、RBCの輸血が必要となることがあります。

 

血小板(PC)

ECMO(エクモ)施行中の血小板数と出血合併症の頻度は相関しており、血小板製剤の投与により出血の合併症を抑えることができます。

ECMO(エクモ)回路により血小板は消費されるため、定期的に補充を行い10万/μL以上に保つことが望ましいとされています。

ACTの急激な短縮に注意しましょう。

 

新鮮凍結血漿(FFP)

肝機能障害をきたしている場合など凝固因子が不足しPTが延長することがあります。

PTはヘパリンの影響を受けないため、患者の凝固能の指標となります。

出血傾向があるときは、合併症を予防するためPT-INR:1.5~2.0を目安に10ml/kg程度のFFPを投与します。

ACTの短縮に注意しましょう!

 

体温管理

冷温水槽の温度を調整し、適切な体温を維持します。

特に低年齢の児では、体温は冷温水槽の温度に依存する割合が大きくなります

末梢は掛物や温枕を利用して保温します。

胸部からのアプローチの症例は、カニューレが目視できるように透明ドレープや厚手のビニール袋などで代用します。

ココがポイント

point!
体表温保温=末梢循環障害の回避、後負荷軽減目的で行う。
中枢温、末梢温センサーの留置を行い持続的にモニタリングを行う。

 

低体温療法

ECMO(エクモ)適応となるような患者で導入前に蘇生が必要となるような状態も珍しくありません。

蘇生後の患者に対しては、軽度低体温療法(34℃)が適応となります。

ECMO(エクモ)を使用すれば短時間で低体温療法の導入が可能となります。

体温の上昇は、循環動態に影響が大きいため、復温時は慎重に観察しながら急激な変動を避けるように管理していきます。

 

偶発低体温症

偶発低体温になると循環不全に対しては、迅速な復温が必要となります。

ECMO(エクモ)を導入すると目標とする体温まで速やかに上昇させることができるため、有用とされています。

 

体位、褥瘡・DVT予防

体位、褥瘡予防

ECMO(エクモ)施行中は、筋弛緩薬を用いての安静管理が必要となることも多いです。

体動がなくなっている患者に対しては、定期的に除圧を行い、褥瘡の発生がないか1日1回は背面観察を行います。

その際は、カニューレの位置がずれないように細心の注意を払います。

ココがポイント

point!
・体位交換は複数名で実施する
・マジックベッドを使用することもある
・カニューレをしっかり保持し、過剰なテンションをかけない工夫をする
・こまめに用手的除圧を行う。浮腫が強いことも多いため注意。
・皮膚損傷を避けるため、圧迫除去する(オルソラップやハイドロサイトプラスを使用)

 

DVT(深在静脈血栓症)予防

ECMO(エクモ)施行中は、通常抗凝固療法を行いますがそれだけでは、DVTの予防は十分ではありません。

抗凝固療法に併用している患者でも一定の割合で血栓も認める報告があり、必要時にはエコーでの確認が必要となります。

ココがポイント

point!
・血腫形成がないか、皮膚色、皮膚温に左右差はないか
・足背、内踝動脈の触知は可能か
・大腿動静脈からの脱血及び送血では、下肢の虚血が問題となる
→両足背動脈、後腓骨動脈の拍動の確認、冷感・皮膚色・腫脹を確認する

 

家族へのケア

家族看護

危機的状況にある患者と同様に家族もまた危機的状況であることを理解して対応する必要があります。

多くの医療機器に囲まれたわが子を前に家族が動揺することは当然の反応です。

また家族の疑問に答え、不安を表出してもらうためにも患者の病状は十分に理解しておく必要があります。

ココがポイント

point!
・家族が望む際は、いつでも医師から病状説明が行われるように調整する
・児に触れてもいい場所を提示し、タッチングを促す
・医療者自身が児を観察する際には、愛護的に声をかけて行う
・説明はゆっくりと平易な言葉を用いて行う
・時間をかけて繰り返し説明を行うことも大切

 

環境の整備

シーツの血液汚染は他のシーツで覆ったり、血性分泌物が吸引された場合には、吸引瓶を覆うなど血液が家族の目に触れないような工夫も必要です。

ベッド上のライン類の整理は安全や効率面だけでなく、家族ケアの視点からも重要になります。

ココがポイント

point!
・血液臭が強い場合は、目立たないように芳香剤を置くなど配慮する
・不要な輸液ポンプや薬剤を患者周囲に置かないようにする
・ショックが大きく機械類に気づいていない家族もいるため安全な場所へ案内する
・ライン類やカテーテル、創部などが目につかないように配慮する



まとめ

ECMO(エクモ)管理中は、さまざまな合併症を考慮しながら看ていく必要があります。

こちらも一緒にご参照ください。

また子どもの急激な変化に動揺している家族も多いため、精神的配慮なども必要となります。

疾患の理解と共にECMO(エクモ)機器について理解し、家族に寄り添えるようになりましょう。

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■ 看護師 / 小児集中治療 ■ 小児科ナース / PALS 資格所有 ■ 気付けば中堅クラスになっていました ■ 子どもを看るうえで必要な知識を発信します

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