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【熱性けいれん】発作時の対応と予防について現役看護師が説明!

 

こんにちは。
小児集中治療室に勤務する看護師のpi ✿︎(@shinkan0607) です。
子どもを看る上での知識を発信しております。

 

自宅で子どもが急に顔が真っ青(チアノーゼ)に…

「白目をむいている、手足はつっぱっているし、ビクビク震えている、声をかけても返事はない…」

こんな状況になった時にあなたは落ちつて対応する自信はありますか?

 

病院に入院となった子どものご家族は、

1歳女児ママ

深夜に救急車を呼んでしまった。

2歳男児ママ

初めてのことでパニックになってしまった…

何もできなかった。苦しかったよね。

 

このようなことを言われることが多いです。

 

いつ、どの子に起こるかわからない「熱性けいれん」

いざという時のために対応できるように、しっかりと知識を身に付けましょう!



熱性けいれんとは

子どものけいれんで最も多いと言われているのは、熱性けいれんです。

熱性けいれんは、「熱が誘因となって、けいれんを起こす」ことです。

生後6ヶ月〜5歳までの子どもに使われる病名で、熱の原因が髄膜炎、脳炎などの中枢神経疾患や代謝系疾患ではない時に診断されます。

 

熱性けいれんは、以下のように定義さています。

 

・主に生後6~60ヶ月までの乳幼児期に起こる

・通常は38℃以上の発熱を伴う発作性疾患(けいれん性、非けいれん性を含む)である

・中枢性神経感染症、代謝異常、その他の明らかな発作の原因がみられないもので、てんかんの既往のあるものは除外

引用:熱性けいれん診療ガイドライン2015
https://www.childneuro.jp/uploads/files/about/FS2015GL/4fs2015_general.pdf

 

また熱性けいれんは、子どもの時だけに起こる病気です。

大人になってからも熱性けいれんが起こることはなく、後遺症や障害を残すことは、ほとんどないと言われています。




小児のけいれんの原因

大人も子どもも、脳や全身状態が危機的な状況に陥ると人間の脳はけいれんを起こすと言われています。

子どもがけいれんを起こす原因は、いくつか挙げられます。

その原因をもとに幾つかの分類に分けてみましょう。

ここでは、理解しやすいために簡単な言葉で分類分けをしたいと思います。

 

まず初めに、脳出血や脳梗塞(器質病変)、急性脳炎・脳症や髄膜炎などの感染症、電解質異常、低酸素、低血糖などもけいれんの原因となります。

このように明らかな原因があるものを「注意すべきけいれん」と分類しましょう。

 

この「注意すべきけいれん」は、速やかにけいれんの原因疾患を治療しないと生命に関わる状態であることが多いです。

そのため、頭部MRI検査や髄液検査、血液検査、脳波検査、尿検査、薬物スクリーニングなどの様々な検査を行う必要があります。

病院にいき、様々な検査が必要となった場合は、こちらの「注意すべきけいれん」であることを認識しましょう。

 

しかし子どもは、圧倒的に良性のけいれんが多いと言われています。

良性のけいれんの中で圧倒的に頻度が高いものが、熱を誘因として発症される熱性けいれんです。

良性のけいれんは、先ほどの「注意すべきけいれん」を除いたけいれんを分類しています。

 

注意すべきけいれん

良性のけいれん

以下の原因によって起こる

・脳出血
・脳梗塞
・脳腫瘍
・急性脳症、脳炎
・髄膜炎
・電解質異常
・低血糖
・低酸素

・健康な脳に起こる

・年齢が上がるにつれて起こりにくくなる

以下の原因によって起こる

・発熱
・胃腸炎
・入浴
・激しい啼泣やひきつけ

注意 感染症(髄膜炎・脳炎脳症)と発熱の違いには注意が必要!

実際に臨床では、これらの分類の鑑別ができることが大事になります。
急性脳症・脳炎なのか?熱性けいれんなのか?
ここを鑑別して対応できるように病院では注意してみています。

 

熱性けいれんの原因

熱性けいれんの原因は、突発性の発疹や風邪、インフルエンザなどの高熱を出す疾患が誘因となって引き起こされます。

1度、熱性けいれんに罹患した子どもが再びけいれんを引き起こす場合も多いです。

遺伝的な要因も関係しており、兄弟や両親のどちらかに熱性けいれんの経験がある場合などは、普通の子どもよりも2〜3倍熱性けいれんを引き起こす頻度が多いと言われています。

 

熱性けいれんを疑う症状

「熱性けいれんかもしれない…」と思う症状は何があるでしょうか?

実際に熱性けいれんを発症する場合は、発熱後24時間いないにけいれんを起こすことが多いと言われています。

 

具体的な症状

・意識を失う(声をかけても反応がない、乏しい)

・全身が突っ張る(手足が異常にピンっとしている)

・手足が異常に震えている(ガクガクとする、ピクンピクンと動きを繰り返す)」

・急に目がつり上がり、白目をむく

・唇が紫色になる、顔色が悪くなる(チアノーゼ)

・泡を吹く

このような症状が組み合わさって現れます。

 

またその子によってけいれんのパターンは異なるため注意が必要です。

通常であれば2〜3分程度、長くても5分以内には収まります。

発作が治まったあとは、何事もなかったかのように通常の状態に戻ります。

5分以内でけいれんが落ち着き普通の状態に戻る場合には、検査を行わないことも多いです。

 

普通の状態とは、どういうことでしょうか?

普通の状態

・自分で歩くことができる

・自分で話すことができる

・しっかりと覚醒している(視線が合う・笑顔が見られる)

・異常な啼泣がない

最も大切になるのは、ご家族から見て「いつもの状態と変わりがないか」ということです。

一緒にいる時間が多い家族から見て普段と変わりがないということはとても大切な指標になります。

 

いつもと違うな…ということがあれば病院へ伝えましょう。

前にあげた「注意すべきけいれん」と考えて、必要な検査を行って原因特定を行う必要があります。

「注意すべきけいれん」の場合には、意識障害が生じたり、再度けいれんを起こすことがあります。

 

熱性けいれんが起きたときの対応

実際に熱性けいれんが起きた時には、どのような対応が必要となるのでしょうか?

入院された子どものご家族からもよくこういった言葉を聞きます。

実際には、自分の子どもが目の前でけいれんする姿を見ることは怖いことです。

ましては誰かがいない場合などは特にそう思うと思います。

 

だからこそ、まずはしっかりと知識をつけましょう!

 

自宅での熱性けいれん対応

実際に目の前でけいれんが起こった際に対応すべきことは以下の通りです。

けいれんが起きたときの対応

  • まずはお母さん(お父さん)自身が落ち着く
  • 子どもを楽な姿勢にする、顔を横に向ける(窒息予防)
  • 周囲の危険物を取り除く
  • けいれんの時間や様子を観察する
    →これは、動画撮影(スマートフォンでOK)が有効です。
    病院で「こんなけいれんが起きた」と見せていただけると助かります。
  • 口の中にものを入れない
  • 体温を測定し、発作の長さ(持続時間)と状態(左右差や眼球変異)などを観察する
  • 口から薬や飲み物を与えない(誤嚥予防のため)
  • もとに戻るまで必ずそばにいる(意識消失、心停止などのリスク)
  • 激しく揺すったり、大声で呼びかけるなどの大きな刺激を与えない

以前、けいれんを起こしたことがあり、けいれん止めの座薬を処方されていれば使用しましょう。

発作が収まり、安全が担保された時点で病院へいくようにしましょう。

けいれんが5分以上続く際は、すぐに救急車を呼びましょう。

 

保育中の熱性けいれん対応

保育士の皆さんも保育中にけいれんが起こってしまわないか心配になりますよね。

また罹患歴がある子どもを預かる場合は特にそう思いますよね。

保育中のけいれんへの対応も基本的には、自宅の対応と同様です。

 

まずは、落ち着くことが大切です。

ひとりで園児を見ている場合は、すぐにヘルプを出して協力者を求めましょう。

そして、深呼吸をして、落ち着いてしっかりと対応することが重要です。

けいれんが起きたときの対応

  • 子どもを楽な姿勢にする、顔を横に向ける(窒息予防)
  • 周囲の危険物を取り除く
  • 他の園児から離す(見かけた子のトラウマにもなることを考慮した対応が必要)
  • けいれんの時間や様子を観察する
    これは、動画撮影(スマートフォンでOK)が有効です。
  • 口の中にものを入れない
  • 体温を測定し、発作の長さ(持続時間)と状態(左右差や眼球変異)などを観察する
  • 口から薬や飲み物を与えない(誤嚥予防のため)
  • もとに戻るまで必ずそばにいる(意識消失、心停止などのリスク)
  • 激しく揺すったり、大声で呼びかけるなどの大きな刺激を与えない

 

発見者や担当者は、けいれんを起こした子どもが落ち着くまでその場を離れずに対応を行います。

それ以外の方で観察や記録(動画撮影も同様)、周りへの連絡(病院や保護者)を行います。

基本的には、保育園のマニュアルに沿っていただくことが一番かと思います。

 

さっきまで元気だった子が突然けいれんする…

こういったことも稀なことではありません。

熱性けいれんの既往がある子どもは、日頃からの様子の観察などを行いましょう。

 

病院での熱性けいれん対応

病院でけいれんが生じた場合には、周りに医療者がいない場合はすぐに呼んでください。

以下は、医療者が対応する方法になります。(ご参考までに)

けいれんが5分以上持続している場合には、薬物治療を選択します。

  • ミダゾラム静注
  • ジアゼパム静注

緊急時は、これらの薬剤を使用してけいれんを止めることが多いです。

投与から10分以内で発作が収まることが多いと言われています。

これらの薬を使用する際には、呼吸抑制に注意する必要があります。




熱性けいれんの予防とは

熱性けいれんを予防すべきかどうかについては、少し難しい問題になります。

単純型熱性けいれん(持続時間15分未満、24時間以内に複数回反復しない発作)を発症した後の認知機能や学習機能などの知的能力やてんかんの発症リスクは、健常児と比べて差がないことが報告されています。

そのため予防することが有益であるとは考えられず、予防のために用いる薬の副作用との兼ね合いを考えていく必要があります。

 

また複雑型熱性けいれんは*1「後々のてんかん発症に関連する熱性けいれん」であると言われています。

 

理解に注意しなければいけませんが

熱性けいれんを繰り返した結果「てんかん」に罹患するわけではありません。

 

将来的にてんかんを発症する子どもが「複雑型熱性けいれんの病態を発症することが多い」と言われています。

てんかん発症率が高い子どもの特徴

・複雑型熱性けいれん

・熱性けいれん発症前の神経学的異常(精神遅滞など)

・両親や同胞のてんかんの家族歴

・短時間の発熱-発作間隔(1時間以内)

しかし、熱性けいれんを引き起こした回数=てんかんの発生率には関連はありません。

そのため、けいれんを予防したらてんかんの発症を防げる!というわけではないのです。

 

複雑型熱性けいれんの定義

熱性けいれんのうち、以下の3項目の1つ以上を持つものを複雑型熱性けいれんと定義し、これらのいずれにも該当しないものを単純型熱性けいれんとする。

焦点性発作(部分発作)の要素

15分以上持続する発作

24時間以内に複数回反復する発作

 

熱性けいれんとダイアップの使用

熱性けいれんの際に使用する薬として、「ダイアップ(ジアゼパム)」が有名ですよね。

 

このダイアップ(ジアゼパム)は、熱性けいれんが生じた際に必ず使用すべきなのでしょうか?

この問いに対しての答えは、NOです。

 

ダイアップ(ジアゼパム)は、熱性けいれんの予防の有効性は高いと言われていますが、けいれんを止める効果はありません。

副作用としても、「眠気が出る・ふらつく・ひどく興奮する」などが考えられます。

また、作用効果が現れる時間(血中濃度が上がる時間)も短く考えても30分程度かかると言われています。

有効性と副作用のバランスを見て、使用するかを決めていく必要があります。

熱性けいれんに罹患したことがあるからダイアップ(ジアゼパム)の処方が必要!!

というわけではないことを理解しましょう。

熱性けいれんにおけるダイアップ(ジアゼパム)投与の適応基準

熱性けいれんの再発予防の有効性は高い。しかし副反応も存在し、ルーチンに使用する必要はない

以下の適応基準1)または2)を満たす場合に使用する。

1)遷延性発作(持続時間15分以上)

2)次のⅰ~ⅵのうち2つ以上を満たした熱性けいれんが2回以上反復した場合

ⅰ 焦点性発作(部分発作)または24時間以内に反復する

ⅱ 熱性けいれんの出現前より存在する神経学的異常、発達遅滞

ⅲ 熱性けいれんまたはてんかんの家族歴

ⅳ 12ヶ月未満

ⅴ 発熱後1時間未満での発作

ⅵ 38℃未満での発作

 

引用:熱性けいれん診療ガイドライン2015
https://www.childneuro.jp/uploads/files/about/FS2015GL/8fs2015_detail4.pdf

 

ダイアップ(ジアゼパム)はどういった場合に処方されるのか

ダイアップ(ジアゼパム)を処方し、使用する場合もあります。

けいれん重積の既往がある子どもには使用しています。

また保育園通園の有無や家庭環境、医療機関までの距離や通院方法などさまざまな状況を考慮して予防を行う場合もあります。

ダイアップ(ジアゼパム)の適応は、医療機関の状況や子どもの生活圏の状況によって変わり得ることがあるということを理解しておく必要があります。

ダイアップ(ジアゼパム)が処方されるケース

・けいれん重積の既往がある

・最寄りの医療機関にたどり着くまで1時間以上かかる

・夜間の受け入れをしていない

・長時間飛行機に乗ったりする予定がある

その子の状況によってケースが異なるため、ダイアップ(ジアゼパム)の適応と予防をしっかりと理解した上で考えていきましょう。




熱性けいれんへの対応まとめ

最も大切なことは、熱性けいれんについてよく理解をすることです。

重複しますが、けいれんが起こった際には、まずは落ち着いて行動しましょう。

 

「注意べきけいれん」と「良性のけいれん」の鑑別が重要となることもお伝えしましたね。

けいれん後の様子が「いつもと違うな?」と思ったら病院へいきましょう

5分以上けいれんが続くようでしたら救急車を呼びましょう。

 

そして、必ずけいれんを起こしている子どもから離れることがないようにしましょうね。

以上のことを理解して、もしもの時に対応できるよう知識をつけましょう!

 

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■ 看護師 / 小児集中治療 ■ 小児科ナース / PALS 資格所有 ■ 気付けば中堅クラスになっていました ■ 子どもを看るうえで必要な知識を発信します

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