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小児の心不全治療

こんにちは。
小児集中治療室に勤務する看護師のpi ✿︎(@shinkan0607) です。
子どもを看る上での知識を発信しております。

心不全とはどんな状態でしょうか?

小児の心不全は何が原因となって起こるのでしょうか?

循環器疾患の子どもを看る際には「心不全」の知識が必要となります。

今回は、小児の心不全を理解する上で必要な知識と看護ケアについてまとめています。



心不全とは

心不全とは、心臓の器質的あるいは機能的異常によりポンプ機能が低下し、代償機構が破綻した結果、主要臓器への灌流不全や肺・静脈系のうっ血をきたし、その結果として症状が現れている状態のことです。

小児の心不全の原因は、多くを先天性心疾患の術前・術後が占めています。

左心不全:左房圧上昇や低心拍出量によるもの。臓器灌流低下や肺うっ血による症状が現れる。

右心不全:右房圧上昇によるもの。体静脈系のうっ血による症状が現れる。

左心不全の進行は右心の後負荷を増大させ、右心不全となるため結果的に両心不全となります。

心不全はあくまで症状や状態のことを意味します。
病名ではないことに注意しよう!

 

心不全の分類

心不全の血行動態指標に基づく分類としてForrester分類があります。

Forrester分類を使用するためには、肺動脈カテーテルを留置する必要があります。

 

Forrester分類に準ずる分類でNohria-Stevenson分類があります。

触診(低灌流所見:末梢循環)と聴診(うっ血所見:呼吸音)、視診で評価を行い、心不全の病態を把握することができます。

心不全の臨床的特徴

左房圧上昇に伴う症状:呼吸促迫・咳・労作時呼吸困難感・起坐呼吸など

低心拍出量の症状:成長発育不全・易疲労・顔色不良・末梢冷感など

右心不全の症状:肝腫大、浮腫、胸水、腹水貯留など

左右短絡疾患での特徴:呼吸不全・哺乳障害・体重増加不良など

 

小児の心不全に対するケア

心不全に対しては、全身状態のモニタリングを行いながら交感神経の過緊張や心筋酸素需要を抑え、心負荷を軽減するように努める必要があります。

以下は、心不全に対するケアの視点です。

モニタリング

  • 心不全に伴う症状の観察、バイタルサイン、検査データ
    → 臨床所見と検査データからアセスメントを深める
  • 水分出納バランスのモニタリングと厳正な管理
    →IN/OUTバランスは適宜入力して確認しよう!
  • 体重の経時的変化の把握
    → 毎日の体重測定が大切!

安静の維持

  • 安静が得られるような配慮
    → 抱っこする、発達に合わせた遊びの提供、DVDの使用など
  • 侵襲的処置時の適切な鎮静・鎮痛
    → 啼泣により酸素消費量も増加します。必要性を考えて鎮静を行いましょう。
  • 不穏時の適切な鎮静・睡眠導入
    → 啼泣や不穏により酸素消費量も増加します。
    子どもの身体が辛くなる前に介入することが大切です。

ガス交換能の維持

  • 確実な酸素投与
  • 安楽な呼吸を維持できる体位調整
  • 分泌物の除去
    → 「啼泣させたくない=介入をしない」でありません。
    必要な介入を最低限で行う努力をしていきましょう。

体温管理

  • 発熱時の冷却、低体温予防
    → 発熱により酸素消費量は増加します。
  • 四肢末梢の保温

その他

  • 確実な薬剤投与
    → 心不全治療薬を使用しているときは、自己抜去などがないように注意します。
    必要な薬が確実に投与できるラインの選択をしましょう。
  • 急変への備え
    → 酸素投与方法・緊急薬剤使用の確認・緊急時の投与ラインの選択
    以上のことが常に出来るように患者の状態やベッドサイド物品は確認します。



小児の心不全の治療

心不全の薬物治療には、利尿剤・強心薬・血管拡張薬・β遮断薬が用いられます。

それぞれの薬剤の特性と副作用は必ず確認しておきましょう。

利尿薬

利尿薬は心不全治療でまず用いられる薬剤です。

左右短絡性疾患や浮腫に対しては第一選択をすることが多いです。

ループ利尿薬であるフロセミド(商品名:ラシックス)が最もよく使用されています。

フロセミドを使用して心不全管理をするときは
低カリウム血症に注意するよ!

 

カテコラミン

カテコラミンをはじめとする循環作動薬は、わずかな量で大きく循環動態を変動させます。

指示量を安定して投与できるライン(中心静脈ライン)を確保し、急激な投与量の変更などが生じないように配慮する必要があります。

カテコラミンの種類と作用は以下に示す通りです。

ココがポイント

各薬剤の特徴を理解し、投与中は全身状態の観察を行う必要があります。小児は体動が多く、年齢によっては点滴についての理解も難しいため事故抜去の予防に努めましょう。



小児の心不全治療 まとめ

心不全治療を行うためにPICUに入室する子どもの多くは、先天性心疾患を抱えています。

心不全の治療中には、「循環管理」が重要となりますのでこちらも理解して取り組みましょう。

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■ 看護師 / 小児集中治療 ■ 小児科ナース / PALS 資格所有 ■ 気付けば中堅クラスになっていました ■ 子どもを看るうえで必要な知識を発信します

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