不妊治療が保険適応に?

医療ニュース 看護師

【 不妊治療が保険適応に? 】不妊治療についての理解

[affi id=2]

こんにちは。
小児集中治療室に勤務する看護師のpi ✿︎(@shinkan0607) です。
子どもを看る上での知識を発信しております。

不妊治療をしている夫婦は、「精神的にも肉体的にも経済的にもきつい」という話をよく耳にします。

現在は晩婚化の影響もあって、不妊治療に前向きな夫婦が増えたといわれています。

30代での出産が多い日本。不妊症で悩んでいる方も多いのではないでしょか?

母子医療に専従する立場より「不妊症」について説明したいと思います。



不妊症とは?

「不妊症」とは、なんらかの治療をしないと、自然に妊娠する可能性がほとんどない状態をいいます。

病気のない健康な男女が妊娠を希望し、避妊をせず夫婦生活(セックス)を営むと一定期間内に大多数の方が妊娠します。

しかし、一定期間を過ぎても妊娠しない場合は、その後いくらタイミングを取っても自然に妊娠する可能性は低くなるため、不妊症と診断することが出来ます。

この“一定期間”というのはどのくらいの期間なのでしょうか?

実は、不妊症と診断できる期間は、年齢によって異なっています。

年齢が高い夫婦では、妊娠できない期間が比較的短くても自然妊娠する可能性は低くなります。

年齢が若い夫婦では、妊娠できない期間が比較的長くてもその後自然に妊娠する可能性は残っていることが多いです。

世界保健機構(World Health Organization: WHO)では、不妊症を「1年間の不妊期間を持つもの」と定義しています。

日本でも1年以上妊娠しない場合に不妊症と診断しています。

年齢が高い場合には、妊娠しない期間が1年未満でも、より早期に検査と治療を開始したほうがよいという考えが一般化してきています。

 

不妊症の人はどのくらいいるの?

「子どもを持ちたい」希望があり、なかなか妊娠しないカップルは、5組に1組と言われています。

「妊娠しやすさ」は、女性の年齢により大きく変化します。

一般にもっとも女性が妊娠しやすい年齢は、20歳前後とされています。

年齢が上がり、特に30歳代後半になると、年ごとに妊娠し難くなります。

したがって「子どもをもちたい」と思っても、なかなか妊娠しないカップル、つまり不妊症の人は、年齢が上がると共にその割合が上昇してきます。

そして、女性の年齢が45歳を過ぎると、たとえ排卵や生理があっても、赤ちゃんとなって生まれてくる可能性のある卵子はできなくなってしまうために、妊娠の可能性もほとんどなくなります。

不妊治療の中で、体外受精などの生殖補助医療を受けるカップルは、毎年著しく増加しています。

日本で生まれるこどもたちの18人に一人は、生殖補助医療によるこどもたちであると言われています。

不妊症の原因

妊娠が成立するためには、受精して着床するまでで多くの条件がそろう必要があります。

不妊症の原因は、多くの因子が重複していたり、逆に検査をしても、どこにも明らかな不妊の原因が見つからない原因不明のものもあります。

妊娠が成立するためには、卵子と精子が出会い、受精して着床するまで、多くの条件がそろう必要が有ります。

そのため、不妊症の原因は、多くの因子が重複していたり、逆に検査をしても、どこにも明らかな不妊の原因が見つからない原因不明のものもあります。

ここでは、女性、男性それぞれで認められる不妊の原因をご紹介します。

女性の不妊症の原因

女性の不妊症の原因には、排卵因子(排卵障害)、卵管因子(閉塞、狭窄、癒着)、子宮因子(一部の子宮筋腫や子宮内膜ポリープなど)、頸管因子(子宮頸管炎、子宮頸管からの粘液分泌異常など)、免疫因子(抗精子抗体など)などがあります。

排卵因子・卵管因子・男性不因子の3つが頻度が高いとされており、不妊症の3大原因と言われています。

排卵因子

排卵障害の原因は様々ですが、プロラクチンという乳汁を分泌させるホルモンの分泌亢進による高プロラクチン血症によるものや、男性ホルモンの分泌亢進を特徴とする多嚢胞性卵巣症候群によるものがあります。

その他、環境の変化等に伴う大きな精神的ストレス、あるいは短期間にダイエットにより大幅な体重減少した場合にも月経不順をきたし、不妊症になります。

 

卵管因子

性器クラミジア感染症は、卵管の閉塞や、卵管周囲の癒着によって卵管に卵子が取り込まれにくくなるために不妊症になります。

とくに女性ではクラミジアにかかっても無症状のことが多く、感染に気づかないことがあります。

 

子宮因子

月経量が多く、血液検査で貧血を指摘された方は子宮筋腫、中でも子宮の内側へ隆起する粘膜下筋腫の疑いがあります。

粘膜下筋腫は受精卵の子宮内膜への着床障害による不妊症になります。

なお、一部の子宮筋腫は着床を妨げるだけでなく、精子が卵子へ到達するのを妨げて妊娠しにくくなることもあります。

同様に一部の子宮内膜ポリープも着床障害の原因になります。

 

頸管因子

排卵期に透明で粘調な帯下(おりもの)の増加がありますが、子宮頸部の手術、子宮頸部の炎症などにより、頸管粘液量が少なくなった場合、精子が子宮内へ貫通しにくくなり、不妊症になります。

免疫因子

何らかの免疫異常で抗精子抗体(精子を障害する抗体)、特に精子不動化抗体(精子の運動を止めてしまう抗体)を産生する女性では、抗体が頸管粘液内にも分泌され、例え運動性の良い精子でも通過を妨げてしまいます。

また卵管内にも精子不動化抗体は分泌され、人工授精で精子を子宮腔の奥まで注入しても、卵管内でその通過が妨げられてしまいます。

受精の場面でも、精子不動化抗体は精子が卵子と結合することを妨害し、不妊症になることがあります。

 

原因不明不妊

不妊症の検査をしても、どこにも明らかな不妊の原因が見つからない場合を、原因不明不妊といいます。

この場合、本当に原因がないわけではなく、検査では見つからない原因が潜んでいることもあります。

その原因のひとつは、何らかの原因で精子と卵子が体内で受精していない場合で、人工授精や体外受精治療の適応となります。

もう一つの原因は、精子あるいは卵子そのものの機能(正常な児として成長する力)が低下している、あるいはなくなっている場合です。

加齢などがこの原因となると考えられており、その一つの証拠として原因不明不妊は夫婦の年齢が上昇すると一般に割合が高くなることが報告されています。

 

男性の不妊症の原因

男性の不妊症の原因は、精子をつくる過程に原因がある造精機能障害、性機能障害、精路通過障害などがあります。

 

造精機能障害

精子は精巣(睾丸)の中で作られ、精巣上体を通り抜ける間に運動能力をえて、受精を行うことの出来る完全な精子となります。

精巣での精子形成や、精巣上体での成熟過程に異常があると、精子の数が少なくなったり、精子の動きが悪くなったり、奇形率が多くなったりして、受精する力が低下します。

原因は多々ありますが多くのケースではまだ原因不明であり、漢方薬やビタミン剤、最近では抗酸化剤なども加えて治療を行います。

 

性機能障害

性機能障害には、有効な勃起が起こらず性行為がうまくいかない勃起障害(ED)と射精ができない射精障害があります。

EDの原因には動脈硬化や糖尿病を一因とする神経性、血管性などもありますが最も多いのは心因性のEDといわれ、不妊の治療としてタイミング指導を行う場合、性行為そのものをプレッシャーに感じてしまいEDをきたすケースもあります。

同じ原因で勃起挿入はできるものの射精のプレッシャーから腟内射精ができない腟内射精障害も起こります。

精路通過障害

精子は精巣内で作られた後、精巣上体、精管、射精菅を経て尿道に精巣内では精子が作られているのに精液中に精子が出てこない閉塞性無精子症があります。

代表的な疾患として先天性の両側精管欠損や精巣上体炎後の炎症性閉塞、鼠径ヘルニア手術等があります。



不妊症の治療とは?

不妊症の治療は、保険適応と自費があります。

原因に応じて治療法を選択していきます。

 

タイミング法

排卵日を予測して性交のタイミングを合わせる治療です。

排卵予定日より前に卵胞の大きさを測り、この測定値から排卵日を推定します。

排卵日の2日前から排卵日までに性交渉があると妊娠しやすいと言われています。

さらに詳しく

費用:3000〜8000円(保険適応)

排卵誘発法

内服薬や注射薬によって卵巣を刺激して排卵を起こさせる方法です。

通常、排卵のない方や排卵が起こりにくい方に行いますが、タイミング法や人工授精の妊娠率を高めるために、あるいは体外受精などの生殖補助医療の際に使用されます。

さらに詳しく

費用:1000〜3500円(保険適応)

 

内視鏡手術

内視鏡手術は、検査としても治療としても行われます。

腹腔鏡検査においては、卵管周囲の癒着や子宮内膜症などの病気がみつかることがあり、検査を行うと同時に治療を行えるメリットがあります。

子宮鏡手術では、妊娠の妨げになるような子宮内のポリープや子宮筋腫を切除することができます。

卵管鏡手術では、閉塞している卵管にチューブを通して開通させ、自然妊娠する可能性を高めることができます。

さらに詳しく

費用:140,000〜400,000円(保険適応)

 

人工授精

精子に問題がある男性不妊症が主な適応となります。

採取した精液から運動している成熟精子を洗浄・回収し、排卵の時期にあわせて細いチューブを用いて子宮内に注入することで妊娠を試みる方法です。

さらに詳しく

費用:10,000〜30,000円(自費)

 

生殖補助医療

生殖補助医療には、体外受精と顕微授精があります。

いずれも腟から卵巣に針を刺して卵子を取り出し(採卵)、体外で精子と受精させて、後日受精卵を子宮内に返します(胚移植)。

顕微授精は、卵子の中に直接にひとつの精子を注入して受精させる方法で、卵子と精子が自然に受精できない受精障害の場合に行われます。

いずれも、他の治療によって妊娠が得られない難治性不妊症が対象になります。

さらに詳しく

体外受精 費用:200,000~600,000円(自費)
顕微授精 費用:250,000〜500,000円(自費)



まとめ

世界中で体外受精により誕生する子どもは100人に1人と言われています。

不妊症に苦しむ人は年々増加していおります。

肉体的、精神的にも負担の多い治療となりますので理解が深まることを願います。

小児科看護師としてもサポートできるようになりましょう。

  • この記事を書いた人
アバター

pi ✿︎

■ 看護師 / 小児集中治療 ■ 小児科ナース / PALS 資格所有 ■ 気付けば中堅クラスになっていました ■ 子どもを看るうえで必要な知識を発信します

-医療ニュース, 看護師

© 2020 PI+ICU NURSE BOOK Powered by AFFINGER5