- 小児集中治療室ってなに?
- 子どもがPICUに入院するんだけど、どんなところ?
こんにちは。
小児集中治療室に勤務する看護師のpi ✿︎(@shinkan0607) です。

ICUやPICUと聞いて、「特別なイメージ」を持っていると思います。
最初に結論を紹介しますと以下のことが言えます。
ポイント
- ICU:集中治療室
- PICU:小児に特化した集中治療室
患者さんにとっては、一生無縁であってほしい場所です。
私と同じ看護師の場合は、感情輸入がかなり大きく責任感を人一倍感じられる職場です。
この記事を読むことで、小児集中治療室(PICU)について理解できます。
以下に当てはまる方は特にオススメの内容になっています。
オススメの人
- 小児治療を希望する看護学生
- 子どもが小児集中治療室(PICU)に入院することになったご家族
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小児集中治療室(PICU)ってなに?
小児集中治療室(PICU:Pediatric Intensine Care Unit)は、「一時的に生命が危険な状態にある、またはそのような状態が切迫している小児患者に対して、その原因、病態、基礎疾患を問わず、病院の総力をあげて治療する場」
PICUは上記のように定義されています。
要するに、急変患者にとっての「最後の砦」と言われています。
各臓器の急性機能不全の状態のみでなく、大きな侵襲をともなう手術(心臓手術や臓器移植手術など)の術後管理も行っています。
そのほかにも以下ような子どもが入室するため、病院内でも重要なエリアです。
ポイント
呼吸が悪くなった児や意識障害、蘇生後、外傷など様々な疾患及び状態の子ども

主体は
「疾患の局所的な治療(臓器ごとの治療)」<「全身状態を改善させる全身管理」
とされているため、子どもの治療全てを一緒に乗り越えていくエリアとなっています。
小児集中治療室の対象となる患者の特徴【子どもの状態】
では、どのような患者がPICUの対象になるのでしょうか?
主に以下の特徴をもった子どもが入室されます。
実際に入室する子どもの特徴
- 意識障害または昏睡急性呼吸不全または慢性呼吸不全の急性増悪
- 急性心不全
- 急性薬物中毒
- ショック
- 重篤な代謝障害(肝不全・腎不全・重症糖尿病など)
- 広範囲熱傷
- 大手術後(心臓血管外科手術後、臓器移植後、脳神経外科手術後など)
- 救急蘇生後(中枢神経管理を要する児、心停止後など)
できれば子どもになってほしくない症状ですよね。

1つに特化したスペシャリストではなく、全体を管理するエリアになっています。
アセスメントして先回りの行動が非常に重要です。
集中治療を受ける小児の特徴
病気を持つ子どもの特徴
子どもは身体機能が成長発達の途中にあるため、発達段階に応じて身体的特徴があります。
子どもは予備能力も少なく、症状の変化や状態の進行が早いことから「良くなるのも早く、悪くなるのも早い」と言われています。
ポイント
子どもは悪化も早いですが、良くなるのも早いです。
少しでも早く、適切な治療を行うことで改善される可能性がグッと上がります。
生命の危機的状況に陥っている場合は、少しの変化でも生命予後が左右される危険性があるため要注意です。
集中治療を受ける子どもの3つの特徴
大きく3つの特徴に分類できます。
- 身体的特徴
- 心理的特徴
- 社会的特徴
上から順番に詳しく紹介します。
身体的特徴
ポイント
身体機能が未発達であることに加えて、集中的な治療によって身体機能を維持している状態が多い
集中治療を受ける子どもは、疾患や手術により身体に何らかの侵襲(しんしゅう)を受けます。
その変化や侵襲(しんしゅう)に適応しようとして、生体内の恒常性を保つために身体は様々な反応が起きます。
特に「呼吸と循環」は影響を受けやすい機能です。
呼吸状態と循環動態の変化や障害は、末梢の臓器や組織への酸素供給の減少を引き起こします。
それに続いて、肝機能・腎機能・消化器系・中枢神経系などの全身の酸素不足につながり、機能障害が増悪します。

些細な刺激や体温の変化、薬剤の影響などは容易に子どもの急変に繋がるため、看護師は細かい変化の対応力が求められます。
心理的特徴
ポイント
不安・寂しさ・恐怖・無関心などの心理的混乱状態を引き起こすことが多い
突然の身体的苦痛や気管挿管による会話の制限、絶飲食、安静の必要性、環境の変化、母子分離などの制限によることで心理的混乱状態を引き起こすことが多いです。
集中治療を受けているという特殊な状況では、一般的な治療を受けている場合に比べて子どもの心理的苦痛が大きくなります。
母子分離において乳幼児が示す行動は主に以下の通りです。
- 抗議(泣く・怒る・呼ぶ・探す・しがみ付く)
→親を取り戻したいという強く表現する段階 - 絶望(関心がない・抑うつ・食欲減退・睡眠障害)
→泣き疲れて強く悲嘆する段階 - 脱愛着(落ち着く・周囲と遊ぶ)
→親への興味を失い、忘れているかのようになる段階。

【 社会的特徴 】
ポイント
生体反応や身体的・心理的苦痛を目の当たりにして、不安や心配、恐怖、混乱、葛藤などのさまざまな思いを抱く
子どもは基本的に家族に守られており、子どもにとって家族は欠かせない存在です。
そのため、子どもの状況の変化は、家族全体の変化にもつながります。
「辛い思いをさせてごめんね」「変わってあげることができたら」「もっと早く受診していたら」と自責の念を抱えながら付き添っている家族も少なくありません。
このように、家族の一員である子どもの変化は、家族全体の変化となり家族の危機的状況を招くこととも言えます。
同胞がいる場合には、きょうだいにも影響が生じます。
きょうだいは、日常生活の変化、集中治療を受ける子どもとの分離、面会や付き添いをする家族との分離、心理的苦痛を抱える家族に直面するという体験をします。
つまり、きょうだいが両親から感じるものは多くあり、それらはきょうだい自身の不安にもつながることが言えます。
ココに注意
面会と家庭での生活を両立すること、不安や心配からの睡眠不足が生じることなどから家族の身体的負担も大きくなるため注意しましょう。
おわりに
PICUは、一時的に生命の危機的状況にある子どもを助ける上で欠かせない場所です。
このようにお伝えすると不安に思われる方も多いと思いますが、子どもは回復力も高いため元気に退院されるお子さんも多いです。
聞き慣れない場所であると思いますが、少しでも多くの方に知って頂ければ光栄です。