こんにちは。
小児集中治療室に勤務する看護師のpi ✿︎(@shinka0607)です。
子どもを看る上での知識を発信しております。
ショックのケースを多く取り扱うクリティカルケアの現場では、循環作動薬はなくてはならない薬剤です。
循環作動薬の作用や使用目的を理解し、臨床のケースと繋げて考えて見ましょう。
ご家族様もお子さんが使用している薬を調べる際の参考になるかと思います。
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術後に使用される主な薬剤
開心術後などは、心拍出量は数時間低下して24~48時間かけて回復します。
心拍出量低下に対して、交感神経の賦活化や内因性カテコラミンの産生亢進による代償機序が働きます。
しかし、代償には限界があるため、代償機序による血管平滑筋収縮や心拍数増加が循環不全を増悪させることがあります。
そのため、開心術後には様々な薬剤により心拍出量の維持、心負荷の軽減が図られています。
循環作動薬を安全に使うために
臨床では、昇圧薬・強心剤などの循環作動薬を安全に使うためには以下のことに注意する必要があります。
ココに注意
- 可能な限り、中心静脈ラインから投与する(血管外漏出より効果が得られない、皮膚壊死を起こす可能性を減らすため)
- 持続投与中やルート内を満たす
- 必要に応じてフラッシュしなければならない場合は、必ずモニタリングを行う
- 可能な限り統一した持続静注を使用する(医療ミスを減らすため)
カテコラミンについて
カテコラミンは、生体組織に広く分布する受容体を介して様々な作用が生じます。
アドレナリン受容体には、α受容体とβ受容体があり、それぞれ2つと3つのサブタイプがあります。
ドパミン受容体にも2つのサブタイプがあり、血管に対するドパミンの作用はD1受容体によるもので、ドパミンはさらにβ1受容体にも作用します。
血管収縮薬・強心薬
血管収縮薬・強心薬は、心収縮力を強くするために用いられます。
種類や使用目的、特徴は以下の通りです。
血管拡張薬・降圧薬
血管拡張薬や降圧役は、血圧を下げるため(後負荷の軽減)に使用します。
種類や使用目的、特徴は以下の通りです。
小児の循環作動薬の使い方
循環作動薬の作用がわかったところで、ショックのケースへのアプローチ方法(評価や薬剤の使用)について考えて見ましょう。
Step1:入室時の評価
入室時には、疾患や合併症の確認を行います。
その後にバイタルサインの測定(HR,BP,BT,RR,SpO2)と一次評価を行います。
一次評価については「重症小児の評価ポイント」を参照して下さい。
Step2:ショック状態の評価
次に、ショックの最も重要なポイントである末梢臓器の酸素化の評価を行います。
乳酸値や中心静脈酸素飽和度、混合静脈血酸素飽和度を参考とします。
ショックの評価については「小児のショック」を参照にして下さい。
Step3:心収縮力、心拍数、血管内ボリューム、血管収縮能の評価
心機能を規定する因子をそれぞれモニタリングを用いて評価します。
Ⅰ)適切な心収縮力、心拍数
・心係数C I(スワンガンツカテーテル)
・心駆出率:EF(心エコー)
・モニター心電図
Ⅱ)適切な血管内ボリューム
・CVP (中心静脈ライン)
・IVC (心エコー)
Ⅲ)適切な血管収縮能
・平均動脈圧:MAP(動脈ライン)
Step4:治療の決定
それぞれの症状を改善させるために以下の薬剤を用いて治療を開始します。
投与を開始すると共に、投与後の循環動態の変化に注意して観察を行います。
Ⅰ)心収縮力の問題:ドブタミン・ミルリノン・中等量ドパミン
Ⅱ)心拍数の問題
徐脈:アトロピン・ドパミン・イソプロテノール・ペーシング
頻脈:脱水の補正、血管内ボリュームの評価、β遮断薬、カルシウム拮抗薬
Ⅲ)血管内ボリュームの問題:輸液負荷
Ⅳ)血管収縮能の問題:ノルアドレナリン・高用量ドパミン
このように全身評価を行なった後に、それぞれの症状に合わせた治療薬の選択をして行きます。
まとめ
代表的な循環作動薬の理解は、クリティカル領域で働く上では必ず必要となる知識です。
臨床での使い方やショックのケースでの使い方など理解しましょう。
また、循環器疾患で入院中のお子さんの使っている薬を調べる際にも参考にして下さい。