- 新型出生前診断(NIPT)を受ける割合は?
- 海外ではどうなの?
この記事では、「新型出生前診断(NIPT)」を受ける割合について考えていきます。

新型出生前診断(NIPT)とは、お母さんの血液を検査することで赤ちゃんの遺伝子疾患のリスクを調べることができるスクリーニング検査です。
従来のスクリーニング検査よりも精度が高く、世界的にも主流になってきています。
本記事では、新型出生前診断(NIPT)の日本での現状と海外との違いについて説明して行きます。
この記事を読んでほしい方
- 新型出生前診断を受ける割合が知りたい
- 新型出生前診断の海外との違いを知りたい
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日本での新型出生前診断(NIPT)とは
新型出生前診断(NIPT)は、2011年にアメリカで開発されました。
日本で新型出生前診断(NIPT)のスクリーニング検査が開始されたのは、2013年4月からです。
新型出生前診断(NIPT)で分かること
新型出生前診断(NIPT)では、
21トリソミー、13トリソミー、18トリソミーの可能性について
知ることができます。
この3つの染色体異常は、高齢出産によりリスクが上がる傾向があります。
新型出生前診断(NIPT)の最大のメリットは、以下の通りです。
- 妊娠10週目の早期に検査ができる
- 流産や死産のリスクがない
- 検査の精度が高い
非侵襲的な検査であるため、母体や胎児への負担も従来の検査よりも少なくなります。
新型出生前診断(NIPT)の注意点
NIPTは出生前遺伝学的検査の1つであり、出生前検査の遺伝カウンセリング(胎児の心配ごとに対してどのように対応するのが自分たちにとって最良とおもわれるかを一緒に考える)においてとりうる選択肢の1つにすぎません。
認可施設である国立医療研究センターでも、上記のように伝えられています。
お母さんの血液を検査することで胎児の遺伝子情報を知ることができ簡便性がありますが
検査の意義・検査結果の解釈
についてご両親がしっかりと考えて、向き合っていく必要があります。
新型出生前診断(NIPT)日本と海外の比較
新型出生前診断(NIPT)は従来の出生前診断よりも極めて高い精度であると言われており、世界各国で採用されています。
国によって検査項目や保険適応、方針が異なります。
海外諸国と日本での違いについてみて行きましょう!
新型出生前診断(NIPT)日本と海外の比較表
日本 | アメリカ | フランス | ドイツ | イギリス | オーストラリア | オランダ | |
保険適応 | × | ○ | ○ | × | × | × | × |
受けれる期間 | 10週~ | 10~18週 | 12~20週 | 10週~ | |||
性別 | ○ | ○ | × | ○ | ○ | ○ | × |
費用 | 20万前後 | 2~3万 | 5~6万 | 4~5万 | 5~11万 | 6~7万 | 2万 |
結果 | 10日程 | 3日~1週間 | 2週間程度 | 1週間程度 | 2週間程度 | ||
特徴 | ・自費診療 ・受けている割合は10%未満 |
・一般的に実施 ・60%受診する |
・2019年から保険適 ・80%以上が受けている |
・妊婦検診のオプションとして選択できる | ・女性の自主的選択として認められている ・90%が受けている |
・一般的な検査として知られている | ・2017年より誰でも受けれるようになった |
欧米諸国をはじめとし、新型出生前診断(NIPT)のスクリーニング検査は推進されています。
保険適応で受けることもできる国もあり、国の方針によって大きく違いがあります。
日本の現状と比較して、詳しく見て行きましょう!
新型出生前診断(NIPT)日本の現状
「新型出生前診断(NIPT)を受けようかな‥」と考えている人の中には
どのくらいの妊婦さんが受けているのか気になる方もいるでしょう。
厚生労働科学研究として実施した調査によると
推定出生前遺伝学的検査の件数は2019年で3.8万件であり、NIPTの推定検査数2万~3万件を加算したとしても6~7万件となり、87万出生とされる2019年の出生数の10%にも満たないことが推定される。
*1 出生前遺伝カウンセリング(NIPTを含めて)-産科の立場から より引用
日本で新型出生前診断(NIPT)を受ける割合は、10%に満たない(2019年時点)と言われています。
とはいえ、海外諸国と異なり自由診療でも検査が可能であるため明確な「新型出生前診断(NIPT)を受ける割合」を把握することは難しいです。

新型出生前診断(NIPT)海外の現状
アメリカの新型出生前診断(NIPT)の現状
アメリカでは、新型出生前診断(NIPT)の検査は通常の妊婦検診と同様に行われています。
新型出生前診断(NIPT)を受ける割合
アメリカでは、新型出生前診断(NIPT)を受けることが一般的と認識されており、妊婦さんの60%が受診しています。
日本と比較すると約6倍以上!
保険適応・費用
出生前診断の内容や加入している保険制度によって、保険適応の範囲が異なります。
日本と違ってアメリカでは、保険でまかなえる場合が多いです。
実質の負担額も200ドル程度となります。
新型出生前診断(NIPT)を受けれる期間
日本と同様で妊娠10週〜から新型出生前診断(NIPT)を受けることができます。
結果・性別
新型出生前診断(NIPT)の結果は、早いと3日〜1週間程度で分かります。
性別についても希望する方にはお伝えしてくれます。
フランスの新型出生前診断(NIPT)の現状
フランスでは、2017年より新型出生前診断(NIPT)の検査は保険適応として受けれるようになりました。
検査内容は、「13,18,21トリソミーのみ」の検査になります。
新型出生前診断(NIPT)を受ける割合
フランスでの新型出生前診断(NIPT)を受ける割合は、分かりません。
しかし80%以上の方が出生前診断(クワトロ検査)を受けています。
クワトロ検査で陽性の場合は、新型出生前診断(NIPT)が保険適応で受けることができます。
保険適応・費用
フランスでは、以下の条件の場合に医療保険適応で新型出生前診断(NIPT)を受けることができます。
- 双子の妊娠
- 染色体疾患の妊娠歴
- 染色体疾患の家族歴がある場合
自費で新型出生前診断(NIPT)を受ける場合は、390ユーロ程度(5万円程)の支払いが必要です。
新型出生前診断(NIPT)を受けれる期間
日本と同様で妊娠10週〜から新型出生前診断(NIPT)を受けることができます。
結果・性別
新型出生前診断(NIPT)の結果は、2週間程度で分かります。
性選択のために検査を利用することは禁止されています。
ドイツの新型出生前診断(NIPT)の現状
ドイツでは、妊婦検診のオプションとして新型出生前診断(NIPT)を受けることができます。
新型出生前診断(NIPT)を受ける割合
ドイツでの新型出生前診断(NIPT)を受ける割合は、残念ながらわかりません。
保険適応・費用
ドイツでは、300~400ユーロ(4~5万円)で新型出生前診断(NIPT)を受けることができます。
妊婦検診のオプションとして受けれるため、日本よりも安いことが特徴です。
新型出生前診断(NIPT)を受けれる期間
ドイツでは、妊娠12週〜20週までの期間で新型出生前診断(NIPT)を受けることができます。
※妊娠週数の数え方の違い
結果・性別
新型出生前診断(NIPT)の結果は、2週間程度で分かります。
性別の確認も可能で結果とともに教えてもらうことができます。
サポート体制
ドイツでは、「妊娠や中絶に対する悩み相談」ができる無料相談所が設置されています。
胎児の障害を理由とした選択中絶は法律で禁止されています。
イギリスの新型出生前診断(NIPT)の現状
イギリスでは、女性の自主的選択の機会を与えるために全妊婦さんにスクリーニング検査の実施を推奨しています。
スクリーニング検査に新型出生前診断(NIPT)は含まれず、保険適応外となります。
新型出生前診断(NIPT)を受ける割合
イギリスでは、90%以上の方が新型出生前診断(NIPT)を選択して受けています。
価格は日本よりも安めではありますが、日本よりも受ける割合が高く、約9倍に当たります。
新型出生前診断(NIPT)について前向きな考えが多いことが読み取れますね。
保険適応・費用
イギリスでは、自費で新型出生前診断(NIPT)を受けます。
費用は、検査内容によって異なりますが400~900ユーロ程度(5~11万円程)の支払いが必要です。
新型出生前診断(NIPT)を受けれる期間
日本と同様で妊娠10週〜から新型出生前診断(NIPT)を受けることができます。
結果
新型出生前診断(NIPT)の結果は、2週間程度で分かります。
オーストラリアの新型出生前診断(NIPT)の現状
オーストラリアでは、任意の検査として新型出生前診断(NIPT)を受けることができます。
保険適応ではありませんが、一般的な検査として認識されています。
新型出生前診断(NIPT)を受ける割合
オーストラリアでの新型出生前診断(NIPT)を受ける割合は、残念ながら分かりません。
保険適応・費用
オーストラリアでは、自費で新型出生前診断(NIPT)を受けます。
費用は、450~500ドル程度(3~4万円程度)の支払いが必要です。
新型出生前診断(NIPT)を受けれる期間
日本と同様で妊娠10週〜から新型出生前診断(NIPT)を受けることができます。
結果
新型出生前診断(NIPT)の結果は、1週間程度で分かります。
性別も希望があれば、結果と一緒に教えていただけます。
オランダの新型出生前診断(NIPT)の現状
オランダでは、2017年にすべての妊娠中の女性が新型出生前診断(NIPT)を受けることができるようになりました。
新型出生前診断(NIPT)を受ける割合
オランダでの新型出生前診断(NIPT)を受ける割合は、残念ながらわかりません。
保険適応・費用
オランダでは、保険適応で新型出生前診断(NIPT)を受けることができます。
オランダ政府が助成金を出しており、実質の負担額は175ユーロ(2万円)程度になります。
新型出生前診断(NIPT)を受けれる期間
日本と同様で妊娠10週〜から新型出生前診断(NIPT)を受けることができます。
結果
新型出生前診断(NIPT)の結果は、2週間程度で分かります。
オランダの新型出生前診断(NIPT)では、性別は教えてもらうことができません。
海外と比較した日本の課題
海外と日本の新型出生前診断(NIPT)のあり方を比較してきましたが、日本よりも海外諸国の方が新型出生前診断(NIPT)が積極的に取り入れられていることは明らかです。
新型出生前診断(NIPT)の有用性が明確だと言われながらも、条件が多く「受けたくても受けられない」という妊婦さんが多いことが日本の課題でもあります。
日本ではすべての妊婦が新型出生前診断(NIPT)を受けれない
日本では、すべての妊婦さんが新型出生前診断(NIPT)を受けることはできません。
「優生思想ではないか?」という倫理的な問題が20年間議論され続け、遺伝子カウンセリングが十分にできる状況が整備されていないということが理由として考えられます。
出生前遺伝カウンセリングを行うことが良いですが実際に施設数も限られており、難しいという現状です。
個人で受ける場合も出生前診断についてしっかりと理解した上で考え、その結果を踏まえて自身で納得していく選択していくことが大切です。
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