集中治療

小児集中治療室 -PICU- 看護師の役割

子どもと家族にとっての集中治療室は、子どもの生命を守るための場所です。
実際に、PICUでは看護師としてどのような役割があるでしょうか?

子どもの小さな異常を早期発見する

子どもの生命を守るために全身状態の観察を24時間絶え間なく、的確に行うことが最も求められる看護師の役割です。

集中治療の場では、問診・視診・触診・打診・聴診の直接的な方法だけでなく、生体情報モニターによる間接的な方法があります。

的確な観察のためには、その子どもがもつ疾患や受けた侵襲を理解し、年齢・成長発達段階・解剖生理に基づく全身の反応や複雑な病態について理解する必要があります。

またそれに加え、観察したデータを踏まえて身体的なアセスメントを行います。

これらを理解した上で、「正常か異常か」「改善しているのか悪化しているのか」を的確に判断します。

的確な観察と判断は、子どもの全身状態の異常を早期発見することに繋がります。

変化や異常をできるだけ早い段階で把握することで、更なる重症化や急変を予防することができます。

異常の発生や急変の際には、迅速に行動する必要があり、集中治療にあたる医療スタッフがチームで協同することが必要不可欠です。

急変時に備えて、日頃から円滑なコミュニケーションやシュミレーションを行い、チーム力を発揮できるようにしておくことが重要です。

円滑なコミュニケーションが取れないとミスの原因になりかねないよ!

集中治療を受ける子どもを観察する視点

小さな異常を早期に発見するために、以下の観察ポイントに注意します。

・バイタルサイン
・意識レベル(GCS,RASSなどを用いて評価する)
呼吸状態(SpO2,努力呼吸,異常呼吸,咳嗽,分泌物など)
循環状態(末梢冷感,皮膚の色,チアノーゼ,尿量,浮腫など
・消化器症状
・痛み(機嫌,表情,訴え,疼痛評価スケールを用いた評価)
・検査所見(胸部X線,エコー,血液検査データなど)
・子どもの発達段階、理解度、性格
・病気、入院、手術に対する理解、思い

何かおかしいな?と思ったらスタッフと共有することが大事です。

安全を管理する

PICUでは、子どもの生命を守るために、身体機能を補助するための機械類や薬剤を用いる場面が多く生じます。

そのため、看護師による観察と安全の管理が重要になってきます。

子どもの生命を守るために生体モニターが適切に使用され、危機が正確に作動しているか各勤務で確認を行います。

観察のためのモニター類も正確な値を知るために適切に測定されるように管理する必要があります。

モニター類のアラーム値などは、その子のバイタルに合わせて設定していく必要があります。(確実に設定しないと異常に気づけない!発見が遅くなる!)

治療や処置が安全に行われるように指示を正確に確認して実施します。
PICUでは、多くのライン類(中心静脈ラインや動脈ライン、ドレーン類など)が挿入されているため、固定を工夫して自己抜去などのトラブルを予防することも必要です。

薬物治療については注意点が多々ありますが、主作用と副作用を理解して異常の早期発見に繋げることが重要です。

特に血管作動薬であるカテコラミン類や血管拡張薬を使用する場面が多く、循環動態に大きな影響を与えるため、正確な投与が欠かせません。

特殊な治療や生命維持装置を用いた治療には、人工呼吸療法・透析療法・補助循環法・低体温療法などがあります。

これらの高度な管理を行うためには、正確な知識を習得する必要があります。

苦痛を積極的に緩和する

集中治療を受ける子どもは、疾患・手術・治療にともなって、なんらかの身体的な痛みを感じていることが多いです。

身体的な痛みの反応、不快にともなって、様々な心理的苦痛も感じています。

子どもの発達段階の特徴を踏まえて、苦痛を読み取る

身体的・心理的苦痛が大きいと安静を保つことが困難になり、不要な酸素消費量を増やしてしまい生命維持のためのエネルギーの消耗につながります。

また呼吸機能、循環動態、消化管運動などの様々な整理機能に影響し、早期回復を妨げます。

これは予備力の少ない子どもにとっては、厳しい状態へ繋がります。

子どもは、発達段階に応じて言語能力や表現能力、認知能力が発達途上にあるため、全身の異常や痛みを的確に訴えることができません。

痛みは単なる身体的な感覚ではなく、心理的な苦痛により増強すると言われています。

 

看護師の役割として、泣き方や表情、機嫌などから子どもの反応反応を読み取り、理解していくことが重要となります。
また家族から普段の様子と違う点や子どもの変化などについて情報を得ていくことも大切です。

さらに、観察で子どもの反応を読み取るためには、子どもの情緒がどのように発達し、痛みをどのように理解していくか知っておく必要があります。

 

 

痛みは一度感じてしまうと、不快・不眠・不安・恐怖などの心理的影響を受けて、痛みの閾値(痛みを感じはじめる刺激の強さ)が低下してますます痛みが強くなります。

小児領域でも取り入れやすい疼痛評価スケールを使用して、痛みを客観的に評価していく必要があります。

生体モニターの変動を観察することも痛みの情報収集としては有効です。

発達段階における情緒や感覚を理解し、子どもの身体的・心理的苦痛に気づき、適切に対処していくことは、子どもの体験ともなり、その後の情緒的な発達にも影響します。

環境調整も心理的ケアのひとつ

子どもが集中治療を受ける環境は、モニターの同期音やアラーム音、機械の作動音、証明、医療従事者の話し声など、子どもにとって不快な環境ばかりです。

アラームの設定を調整する、アラームへは迅速に対応する、昼夜に合わせて証明を調整する、子どもの好きなDVDや音楽を流すなどの工夫を行い子どもの不快を緩和できるように取り組む必要があります。

子どもが入院するという状況は、普段の生活とも異なります。
生活の場が異なるだけでなく、安静が必要となる、治療や処置が行われる、突然の母子分離などの日常そのものが変化します。

子どもが安心するもの(お気に入りのぬいぐるみやタオルなど)を近くに置いたり、遊びを取り入れたりすることで、できる限り日常生活に近づける工夫が必要です。

また、発達段階や子どもと家族の状況に応じて、プライバシーが守られるように配慮することも重要です。

合併症を予防する

集中治療を受ける子どもは、人工呼吸療法、薬物療法、生命維持療法などの治療を受けています。

これらは効果も大きいですが、弊害や副作用もあります。

異常の早期発見とも関連しますが、治療による合併症についても理解し、対処していくことが看護師の役割として必要です。

子どもと家族に早期から介入する

家族は、さまざまな思いを抱き、動揺している状況にあります。

特に、突然の緊急入室や急変の場面において、家族が子どもに会うまでの時間や病状説明の方法・内容は、家族の理解やその後の思いの経過、受け止め、子どもへの関わりに影響を及ぼします。

家族は、厳しい情報提供や意思決定が続くことも多くなります。

その中で家族が理解・納得しながら決定していけることが重要です。

看護師は、母親だけでなく、家族全員の思いを聞き、家族に寄り添いながら、家族の思いの表出を助けたり、代弁するなどの意思決定支援を行います。

家族は集中治療を受ける子どもが中心になることで、きょうだいがいる場合であってもその子以外のことを考えられなくなってしまう可能性もあります。

そのため、早期からの兄弟支援も重要です。

おわりに

子どもの生命を守るために、身体機能を補助するための機器や薬剤を用いる場面がPICUでは多々あります。

そのため、看護師による観察と安全管理は重要となります。

また、家族に対する身体的・心理的苦痛の緩和も同時に行う必要があります。

さまざまな視点を持って、看護ケアに取り組めるようになりましょう。

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■ 看護師 / 小児集中治療 ■ 小児科ナース / PALS 資格所有 ■ 気付けば中堅クラスになっていました ■ 子どもを看るうえで必要な知識を発信します

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