- 小児科看護師ってどんな役割があるの?
- 小児科看護師は何に注意しているの?
- どうやったら小児科看護師になれるの?
小児科で働くことに興味がある看護師さんは、このような疑問をお持ちではないでしょうか?
子どもを看る上での知識を発信しております。

今回は、「小児科で働く看護師であるからこそ分かる!小児科看護師の役割」についてお伝えします。
この記事を読んでほしい方
- 小児科看護師に興味がある人
- 小児科看護師として働きたい人
- 小児病棟を希望の人
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小児科とは?
小児科では、生まれたばかりの新生児から乳児、幼児、学童(15歳まで)と幅広い年齢を診療しています。
小児に特化した病院や大きな病院では、さらに細かく診療科が別れています。
基本的な小児科では、外相以外の外科的治療や内科的治療を全般としてみています。
特殊な部署での勤務
小児集中治療室:PICU
小児に特化した集中治療室のことをPICUと言います。
PICUは、子どもの生命を守るための場所です。
PICUでの看護師に役割も同時に説明していきたいと思います。
詳しく知りたい方は【PICUとは?】でも説明しています。
NICU(新生児集中治療室)
早産児(36週未満で産まれた児)や低出生体重児(出生体重2500g未満の児)、病的新生児の集中治療を行っている場所をNICUと言います。
小児科看護師の役割【知識】
小児科看護師の役割で特徴的なことは、幅広い年齢の子どものケアを行うことです。
乳児・幼児・学童では、罹りやすい病気も異なります。
また身体機能や成長発達段階なども異なり、変化の大きい期間ですので網羅的な知識が必要です。
異常を早期発見するために必要な知識
子どもの生命を守るために全身状態の観察を的確に行うことが小児科看護師の役割です。
子どもの全身状態を的確に観察するためには、以下の理解が必須です。
- その子が持つ疾患や受けた侵襲を理解する
- 年齢・発達段階・解剖生理に基づく全身の反応
- 観察データを踏まえたアセスメント
これらを理解した上で、「異常所見がないか」「悪化所見がないか」を判断します。
子どもの状態の異常や悪化を早い段階で把握することで、重症化や急変を予防することができます。
PICUでの看護師の役割【観察する視点】
PICUでは、小さな異常を早期に発見するために以下に注意します。
小児科看護師の役割【安全管理】
小児科では、若齢で危機管理能力が十分でないため、看護師の役割として安全管理が重要となります。

なんてこともよくありますができるだけ少なくしたいですよね。
患者の成長発達や病態に合わせて(絶対安静が必要な場合は注意!)安全管理の工夫をします。
詳しくは、【小児の安全管理】でも紹介しています。
PICUでの看護師の役割【安全管理】
PICUでは、身体機能を補助するための機械類や薬剤を多く使用しています。
そのためPICUでの安全管理では、以下のポイントに注意しています。
- 生体モニターが正確に作動している
→ 正確に患者の状態を観察できるように管理する。 - 治療や処置が安全に行われるように指示を正確に確認する
- 多くのライン類が挿入されており、固定を工夫して自己抜去を防ぐ
→ 血管作動薬を使用していることも多く、循環に影響を与えやすいため特に注意 - 特殊な治療や生命維持装置を用いた治療を行う場合には、正確な知識を習得する
※ 生命維持装置を用いた治療:人工呼吸療法・透析療法・補助循環療法・低体温療法など
小児科看護師の役割【苦痛の緩和】
入院をしている子どもたちは、手術や治療にともなって身体的苦痛を感じています。
また身体的な痛みの反応、不快にともなって、様々な心理的苦痛も感じています。
小児科看護師として、これらの苦痛を積極的に緩和することも役割のひとつです。
子どもの発達段階の特徴を踏まえて、苦痛を読み取る
子どもは、発達段階に応じて言語能力や表現能力、認知能力が発達途上にあるため、全身の異常や痛みを的確に訴えることができません。
そのため泣き方や表情、機嫌などから子どもの反応反応を読み取り、理解していくことが重要です。
家族から普段の様子と違う点や子どもの変化などについて情報を得ていくことも大切です。
子どもの情緒の発達を理解する
子どもの苦痛を読み取るためには、子どもの情緒の発達や痛めの理解について理解する必要があります。
子どもの情緒の発達の目安は、以下の通りです。
1~2ヶ月 |
「不快」から発達する |
3ヶ月 |
「快」を感じる |
4~5ヶ月 |
「怒り」を感じる |
5~6ヶ月 |
「嫌悪」「恐れ」を感じる |
7ヶ月 |
母親を認知できる(人見知り、後追い行動) |
1歳前後 |
「痛み」を感じる状況を怖がる |
1歳半 |
痛みを発声で表す 痛みの場所を示す |
2歳 |
「いたい」と表現する 抱っこしてもらう、撫でてもらうなどで痛みに対応する |
3歳 |
痛みについて話す |
5歳 |
痛みの程度や特徴を大まかに話す |
7歳 |
痛みの程度をよりはっきり話す 痛みに対して自分なりに対処する |
10歳 |
なぜ痛みがあるのか話す |
11歳以降 |
痛みの意味を話す |
痛みは、身体的な感覚だけでなく、心理的な苦痛によっても増強すると言われています。
不快・不眠・不安・恐怖などの心理的影響を受けて、痛みの閾値が低下し、痛みが強くなります。
小児科では、子どもの身体的変化や疼痛評価スケールなどから客観的に痛みを評価しましょう。
環境調整を行い子どもの心理的ケアに取り組む
小児科看護師の役割として、心理的ケアの工夫も挙げられます。
そのため環境調整を行い、子どもにとって不快なものを減らす工夫が必要です。
環境調整の工夫
- モニターやアラームの音、機械音などの調整をする
- 医療従事者の声などで不快に思わせないようにする
- 昼夜に合わせて照明を調整する
- 子どもの安心するものを近くにおく(ぬいぐるみやタオルなど)
- 遊びを取り入れ、できる限り日常生活に近づける
- プライバシーの配慮を行う
病院で過ごすことは、生活の場が異なり母子分離してしまい様々な苦痛が生じます。
子どもにとって苦痛の少ない環境を整えることが看護師の役割として大事になります。
小児科看護師の役割【家族への介入】
子どもが入院することになった場合、そのご家族はさまざまな思いを抱き、動揺していることが多いです。
突然の入院や急変の場面では、家族の動揺は大きいものになります。
そのため小児科看護師は、これらのことを理解した上で家族への介入を行う必要があります。
PICUでの看護師の役割【家族介入】
PICUへ子どもが入院となった場合は、通常の入院よりもさらに厳しい状況となることが多いです。
そのため家族のサポートを行うことも看護師の役割として求められます。
家族介入ポイント
- 厳しい状況の中で情報提供や意思決定がされていることを理解する
- 家族が子どもの病状を理解できるようにサポートする
- 家族が納得して意思決定ができるようにサポートする
- 家族に寄り添いながら思いの表出を助ける
- 家族の思いを代弁して医療従事者と共有する
- 兄弟支援を行うために調整を行う
【小児科看護師の役割】まとめ
小児科看護師の役割を理解することは、小児科で働く上で大切なことです。
- 網羅的な知識を得ること
- 子どもの安全管理を行うこと
- 子どもの苦痛を緩和すること
- 家族への介入
皆さんも理解した上で取り組んでいきましょう。