小児看護

酸素投与と呼吸ケア

酸素投与と呼吸ケアは、看護師として働く上で欠かせないことですよね。

酸素投与は良いものと思われますが、もちろん副作用も生じます。

また近年ではHFNCの使用率も上昇してきております。(COVID-19でも使用されていますね)

酸素投与とHFNCの特徴について理解しましょう!

酸素投与

酸素療法は、呼吸窮迫や呼吸不全、循環不全、代謝亢進状態(発熱、けいれん、外傷など)において低酸素血症による自覚(他覚)症状を改善し、組織の酸素化を維持する目的で実施します。

吸入酸素濃度は60%以下が望ましいとされており、2歳以下の小児に対する経鼻酸素流量と吸入気酸素濃度の目安は以下の通りです。

酸素療法では、酸素流量や使用する器具によりFiO2が異なります。

小児では、不適切な装着や頻呼吸、不安定な1回換気量により必ずしも成人と同じ効果が得られるとは言えません。

そのため、SpO2のモニタリングなどでしっかりと持続的に呼吸状態の評価をすることが重要です。

また子どもから協力が得られにくく、装着が困難となる場合も多くあります。

使用する器具の選択や固定方法、プレパレーションなどを工夫する必要があります。

特に1〜2歳の子は、鼻まわりを触られることを嫌がります。

無理やりすることは、子どもにとっても恐怖に繋がります。

必要な酸素投与が確実にできる方法を臨床で模索しましょう!

HFNC (high flow nasal cannula)

HFNCは、酸素ブレンダーを使用することで、加温加湿された酸素を特殊な鼻カニューラを使用して高流量で投与する酸素療法です。

小児では一般的に、2L/min/kgの流量で使用されています。

明確な適応疾患や開始・中止の基準はありませんが、人工呼吸器離脱後の呼吸補助やNPPVでの同調性不良やマスクフィッティングが悪い場合、呼吸窮迫・呼吸不全などのさまざまな場面で使用されています。

近年では、HFNCの使用率が上昇してきています。

非侵襲的であり、お話ができる、食事ができる、

挿管している時より顔まわりがすっきりする等

子どもへのメリットが大きいです。

また、高肺血流量における低濃度酸素吸入療法(吸入時に窒素を混合して吸入気酸素濃度を空気濃度以下に減少させることで排血管抵抗を上昇させ、肺血流量を減じる治療)や肺血管抵抗を低下させる一酸化窒素(NO)吸入療法などの場合にも使用されています。

 

HFNCのメリット及びデメリットは以下の通りです。

HFNCの使用により、気管挿管や再挿管を回避することができる子も多いです。

しかし、重要となるのは開始後の呼吸状態の評価とモニタリングであり、呼吸状態の悪化を見逃さないようにすることです。

酸素療法の副作用と弊害

酸素投与には、CO2ナルコーシスや酸素中毒、吸入性無気肺などの副作用や弊害があります。

高濃度酸素投与では、活性酵素による肺胞上皮細胞や血管上皮細胞への傷害により「肺損傷」を引き起こし、肺胞レベルで吸収されない窒素が少なくなることから吸収性の無気肺が生じることが知られています。

先天性心疾患における肺血流量増加型疾患酸素投与により肺血管抵抗が低下し、肺血流量増加、肺鬱血をきたす疾患)動脈管依存性疾患酸素投与による動脈管収縮により体循環もしくは肺循環不全をきたす疾患)では、酸素投与は望ましくなく、投与には慎重になる必要があります。

肺血管抵抗と酸素投与の関係性を理解しよう!

呼吸管理ケア

吸入療法

吸入療法は、薬剤をエアゾール粒子やドライパウダーの形で気道に直接吸入させています。

そのため、経口投与に比較して少ない投与量で効果発現は早く、薬理作用が高いという特徴があります。

また体循環を経由しないため、副作用の出現を抑制できるという利点があります。

しかし、小児では気道径が細い、一回有効換気量が少ない、深呼吸や息止めができないなどの問題があり、施行方法によっては効果がないばかりか病態を悪化させてしまう可能性があるため、器具の選択や施行方法の選択などの工夫が必要です。

人工呼吸器中に使用する場合には、呼吸器回路の吸気側に専用のスペーサーを組み込んで使用します。

人工呼吸器中は、エアゾール粒子が呼吸器回路や気管チューブ内に沈着するため、経口による吸入時より吸入薬の容量を増量するなどの検討が必要です。

また呼吸器回路内の水滴に吸入薬が吸着する可能性があるため、結露を除去しておく必要があります。

吸引

吸引の目的は、気道の開通性を維持することで、呼吸仕事量及び呼吸困難感を軽減させ、肺胞でのガス交換を維持・改善することです。

実施の際には、患者にとって侵襲的なだけでなく、苦痛を伴うこととなるため必要最低限で行うべきです。

鼻腔・口腔吸引

解剖学生理学的特徴から鼻腔・口腔ともに狭く、生後6ヶ月未満では鼻呼吸への依存があるため、成人よりも鼻腔・口腔吸引による気道の開通性の維持が重要となります。

しかし、鼻腔・口腔粘膜が柔らかいため損傷しやすく、低酸素血症に陥りやすいです。

嘔吐しやすいなどの危険性もあるため、愛護的かつ確実な手技が必要となります。

小児の鼻腔・口腔吸引における吸気圧は、100~200mmHgや300mmHgとする文献もありますが、高すぎる吸引圧では粘膜損傷を起こす危険性が高くなるため注意が必要です。

気管内吸引

気管吸引とは、「人工気道を含む気道からカテーテルを用いて機械的に分泌物を除去するための準備、手技の実施、実施後の観察、アセスメントと感染管理を含む一連の流れのこと」と定義されています。

気管吸引には、開放式と閉鎖式の2つの方法があります。酸素化と肺容量維持のためには閉鎖式吸引が優れていると言われています。

新生児や乳児、高酸素濃度や呼気終末陽圧(PEEP)を要する場合には、閉鎖式吸引が望ましいですが、呼吸状態などから適切な方法を選択する必要があります。

体位交換と体位ドレナージ

体位交換の目的は、臥床安静や不動・人工呼吸器管理などに伴う合併症の予防や治療、日常生活に必要な体位への援助、安楽の保持など多岐にわたります。

呼吸器系では、水平仰臥位に比べ高頭位は、横隔膜が低下し機能的残気量が増加するため、酸素化の向上に有効です。

また、肺野は上位でより肺胞や気管支が開きやすく、下位では血流が多くなるため、障害側の肺区域を高位とした体位は、無気肺の改善や換気血流不均衡の是正、分泌物のドレナージ効果が期待できます。

さらに30~45度の高頭位は、誤嚥や人工呼吸器関連肺炎(VAP)の予防にもなるため推奨しています。

腹臥位療法については、成人領域ではARDSにおける腹臥位療法により生命予後が改善することが近年報告されています。

小児領域でも、背側の無気肺に対してアプローチをする際に腹臥位療法を行います。

酸素化の改善を認めることができますが、小児は安静が必ずしも保てる状態ではないため、計画外抜管を含めたチューブ位置の異常に注意して安全な施行に向けて努力が必要となります。

まとめ

「酸素投与は良いもの」と思ってしまいがちですが、副作用もあるため理解した上で実施していきたいですね。

そして呼吸評価を繰り返し行い、呼吸悪化に早期に気付けるようにしましょう。

 

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■ 看護師 / 小児集中治療 ■ 小児科ナース / PALS 資格所有 ■ 気付けば中堅クラスになっていました ■ 子どもを看るうえで必要な知識を発信します

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