こんにちは。
小児集中治療室に勤務する看護師のpi ✿︎(@shinkan0607) です。
子どもを看る上での知識を発信しております。
これまでの評価ポイントは、PICUで子どもの全身評価を行う際の細かい内容でした。
入室時や急変時には、一次評価をもとに迅速に対応する必要があります。
前回までにおさえた評価をもとに一次評価について説明します。
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小児の一次評価 / 全身評価
PICUに入室する小児には、入室後モニターを装着したら一次評価を行います。
チェック
A:気道 (airway)
B:呼吸 (Breathing)
C:循環 (Circulation)
D:神経学的評価 (Disabilly)
E:全身観察 (Exposure)
の順序に沿って観察を進めていきます。
A:気道(airway)
胸上がりはあるのか?
気流音はあるのか?
気道デバイスは適切か?
上記の内容を素早く確認していきます。
ここで緊急性がある場合は、簡単な処置として次のことを実施します。
さらに詳しく
- 小児が楽になる体位または気道の開通が以前される体位をとる
- 頭部後屈―顎先挙上法または下顎挙上法を用いて気道確保を行う
B:呼吸 (Breathing)
呼吸努力はないか
換気量は十分か
呼吸音の異常はないか
SpO2の異常はないか
不安や興奮により呼吸数が変わることがよくあるため、身体に触れる前の方が呼吸数は最もよく評価できます。
代謝需要の増加をもたらす状態(興奮・不安・運動・疼痛・発熱など)にある小児では、呼吸数が通常より多くなります。
呼吸数は、30秒間に胸が上がる回数を数えてこれを2倍することで測定します。
年齢に関わらず呼吸数が1分当たり10回未満または60回を超える状態が持続する場合は異常であり、重篤な障害がある可能性を示唆しています。
さらに詳しい評価の方法は、小児の呼吸評価1・2をご参照ください。
C:循環 (circulation)
心拍数の異常はないか?
不整脈はないか?
毛細血管充満時間(CRT)の異常はないか?
末梢冷感はないか?皮膚色の異常はないか?
浮腫はないか?冷汗はないか?
ショックで心拍出量が減少するにつれて、全身の灌流は段階的に減少します。
灌流の低下は、脈拍の減弱を伴って四肢から始まり、次いで末梢の脈拍が消失します。
心拍出量と灌流がさらに低下するにつれて最終的に中枢の脈拍が減弱となります。
さらに詳しい評価の方法は、循環の評価・ショックをご参照ください。
D:神経学的評価 (Disabilly)
瞳孔の異常所見はないか?
大泉門の異常所見はないか?
髄膜刺激症状はないか?
疾患や外傷のある小児に反応の鈍化が認められた場合は、酸素化や換気、循環を直ちに評価していく必要があります。
さらに詳しい評価の方法は、脳神経の評価・血液ガス分析をご参照ください。
E:全身評価 (Exposure)
腹部所見の異常はないか?
外表所見の異常はないか?
全身観察は、一時評価の最終項目になります。
小児の顔面、頸部、体幹、四肢、皮膚を慎重に観察していく必要があります。
さらに詳しい評価の方法は、体温管理をご参照ください。
小児の致死的な障害
観察により生命を脅す状況や早急に対応すべき状況を確認したら、速やかに介入を行います。
一次評価で特に注意すべきポイントは以下の通りです。
小児の二次評価
一次評価を終えて適切な介入を実施した後に二次評価を実施します。
二次評価では、焦点を絞った病歴の聴取を実施し、主訴を判定します。
呼吸機能または心血管機能の障害原因を説明できる情報を得るように努めます。
焦点を絞った病歴聴取をするには「SAMPLE」に沿って聴取します。
小児の一次評価 まとめ
入室直後の一次評価では、全体を順序よく迅速に評価して、把握することが重要になってきます。
この時に生命を脅かす状況に対しては速やかに介入します。
その後に一次評価で問題となった点についてさらに詳しい評価・介入をしていきます。
経時的な変化を見逃さないためにも、評価は繰り返すようにしましょう。