集中治療

人工呼吸器の理解に必要な用語

こんにちは。
小児集中治療室に勤務する看護師のpi ✿︎(@shinkan0607) です。
子どもを看る上での知識を発信しております。

 

人工呼吸器と聞くと難しいものと思ってはいませんか?

 

集中治療室に勤務すると自ずと関わることが多い人工呼吸器。

新人の頃は、単語の多さ、その意味の理解、アルファベットの羅列に惑わされて理解することを難しく思っていた記憶があります。



人工呼吸器の用語の理解

人工呼吸器に関する言葉は、「難しい、自分に理解できるのだろうか…?」と思ってしまいますよね。

しかし用語自体が大切なのではなく、それらが何を意味しているのか、概念を理解することが大切です。

またそれを理解すると不安も軽減されると思います。

今回は、人工呼吸器を看る上で必要となる用語の意味を説明していきたいと思います。

 

人工呼吸器の仕組みから理解する

そもそも人工呼吸器はどのような仕組みをしているのでしょうか?

人工呼吸器の用語を説明する前にイメージを作りたいと思います。

まず初めにアンビューバック(またはジャクソンリースでイメージ)で人工呼吸器の仕組みについて考えてみましょう。

挿管している患者でジャクソンリースを使用するときには、

・どのくらいの頻度で揉めば良いのだろうか?
・1回あたりどのくらいの空気を送り込んだらいいのだろうか?
・手を離すときは完全に手の力を良いのだろうか?

このように考えますよね。

これと同様に人工呼吸器も設定(=指示)を行えば良いのです。

要するに以下のようになります。

ココがポイント

・どのくらいの頻度で揉めば良いのか?
⇨ 換気回数
・1回あたりどのくらいの空気を送り込んだらいいのだろうか?
⇨1回換気量
・手を離すときは完全に手の力を良いのだろうか?
⇨PEEP

これが人工呼吸器を理解する上での基本となります。



用語の定義

人工呼吸器を設定する際には、いくつかの設定値を入力しなければなりません。

モード:アシストコントロール 一回換気量:150 換気回数:20回
FiO2:0.4  PIP:20  PEEP:5

このように指示が入ったとします。

どのように理解したら正しいでしょうか?

さらに詳しく

モード → アシストコントロール
一回換気量 → 一回換気量:150ml
換気回数 → 換気回数:20回/min
吸入酸素濃度 → FiO2:40%
呼気終末陽圧 → PEEP:5cmH2O

このようになります。

これらの詳しい意味について説明していきたいと思います。

モード(mode)

モードの設定は、「換気様式」のことを意味します。

どのような様式で呼吸をサポートするかをここで決定します。

さらに詳しく

臨床でよく使われるモード
A/C SIMV CPAP

これらの基本的なモードを理解できると臨床現場では問題なく働くことができます。

近年の換気モードの設定では、自発呼吸に対して同調性を高めることで人工呼吸器関連障害や廃用性萎縮を抑えて、鎮静薬を減量できることが求められています。

詳しくは、こちらで紹介しています。

 

コントロール変数

コントロール変数は、何を目標に1回の換気を決めるのか設定する項目です。

さらに詳しく

従量式(volume control : VC)= 1回換気量(tidal volume)
従圧式(pressure control : PC)= 換気圧

をもとに1回の送気方式を決定します。
これらがコントロール変数です。

 

時相変数(phase variables)

1回の換気はコントロール変数だけでは決まりません。

ココがポイント

吸気をどのように始めるか(=トリガー)
どのように維持するか(=リミット)
どのように終えるか(=サイクル)

これらも決定する必要があります。

 

換気回数(ventilation rate)

換気回数は、人工呼吸器が1分間に強制的に何回気動ガスを送り込むのかを設定しています。

換気回数は、患者さんが実際に胸を動かしている呼吸回数と必ずしも一致するわけではありません。

自発呼吸がある場合は、呼吸回数が換気回数よりも多いことがあり得ます。

吸入酸素濃度(FiO2)

FiO2(Fraction of inspired oxygen)は、吸入酸素濃度と訳されます。

60%酸素濃度は、FiO2:0.6と示されます。

酸素が全く投与されていない「室内空気(room air)」の状態であれば、FiO2:0.21となります。

 

呼気終末期陽圧(PEEP)

PEEP(positive end-expiatory pressure)は、呼気終末期陽圧と訳されます。

アンビューバックの例から考えてみましょう。

アンビューバックを揉んだ(吸気を入れた)後、手の力を抜く時(呼気)に完全に手を離してしまうと、気道内は最終的に大気と同じになります。
そうすると、肺は虚脱を引き起こしてしまいます。
完全に手を離さず、少しだけ力を抜くと呼気中でも肺胞が開いたままになり、肺の虚脱を防ぐことができます。

この肺の虚脱を防いでいる状態がPEEPの状態を意味します。

これが人工呼吸器管理中の酸素化の改善には好ましいと言われています。

 

分時換気量(minute ventilation:VE

分時換気量は、人工呼吸器で換気を開始するための基本設定で設定する項目ではありません。

しかしアラーム設定時には調整する必要があります。

分時換気量は、一回換気量と換気回数の積で、1分間にどれくらいのガス(L)が患者に挿入されたかを表す値です。

ココがポイント

分時換気量 VE(L/分)= 1回換気量 V1(L)× 呼吸回数(回/分)

まとめ

難しく考えてしまう人工呼吸器ですがまずは用語の意味をしっかり理解しましょう。

そうすることで不安も軽減されると思います。

次は、基本的な人工呼吸器のモード「A/Cモード」についてお話ししたいと思います。

  • この記事を書いた人
アバター

pi ✿︎

■ 看護師 / 小児集中治療 ■ 小児科ナース / PALS 資格所有 ■ 気付けば中堅クラスになっていました ■ 子どもを看るうえで必要な知識を発信します

-集中治療

© 2020 PI+ICU NURSE BOOK Powered by AFFINGER5