人工呼吸器の 観察ポイント

集中治療

人工呼吸器の観察ポイント【A/C,SIMV,PSV,CPAP】

こんにちは。
小児集中治療室に勤務する看護師のpi ✿︎(@shinkan0607) です。
子どもを看る上での知識を発信しております。

前回は、人工呼吸器の基本的な4つのモードについてお伝えしました。

それぞれのモードによる観察のポイントについて理解できていますか?

人工呼吸器の観察ポイントは、モードによっても異なります。

 

換気モード別の観察ポイント

主に用いる換気モードとして、A/C , SIMV , PS , CPAP があります。

今回は、これらのモード別の観察ポイントをお話しします。

 

A/Cの観察ポイント

急性期においてA/Cは、人工呼吸器の導入時によく使用されます。

強制換気で肺の換気と拡張を維持し、呼吸仕事量を軽減することが主な目的です。

A/Cの特徴は、自発呼吸の有無に関わらず、設定された換気量が送気されることです。

自発呼吸をトリガーしたときは、アシスト呼吸として設定された調整換気を送気します。

アシスト換気となり自発呼吸が増加した場合には、設定換気回数を超えて換気を行います。

換気様式は、VCVとPCVを選択することができます。

VCVとPVCの違いについては、以下に示します。

 

A/Cにおける観察ポイント

VCV-A/C

PCV-A/C

・気道内圧の変化に注意

・患者努力の増加で気道内圧低下

・患者努力が増加しても換気量は一定

・自発呼吸がある場合は同調性を確認

・auto-PEEPに注意

・換気量の変化に注意

・患者努力が増加しても気道内圧は一定

・患者努力が強くなると換気量は増加

吸気時間の設定に注意

・自発呼吸がある場合は同調性を確認

・auto-PEEPに注意

 

VCV-A/Cのとき

こちらのモードでは、設定した1回換気量を送ることから、換気量は一定量となります。

しかし、気道内圧は患者の状態によって変化するため、気道内圧を常にモニタリングする必要があります。

PIP(=最高気道内圧)とプラトー圧のモニタリング、同調性、吸気流量の不足がないかの確認が重要となります。

 

PCV-A/Cのとき

こちらのモードでは、気道抵抗やコンプライアンスの変化による気道内圧の変化は生じません。

しかし、1回換気量が変動します。そのため1回換気量のモニタリングが重要となります。

PCVの吸気時間は、「吸気流量が吸気終末時にゼロとなる時間」を設定します。

吸気流量がゼロにならない場合は、肺の中で設定圧に達していないことを意味します。

この場合に吸気時間を増やすと一回換気量が増加します。

PCV-A/Cでは、自発呼吸をトリガーすると設定した強制換気を送ることになります。

自発呼吸が多い場合は、分時換気量も増加します。

リークや振動によってオートトリガーが発生していないかを確認しよう!

SIMVの観察ポイント

SIMVは、自発呼吸だけでは換気量が不足する場合に、一定の間隔で補助呼吸を行うモードです。

補助呼吸は、VCVまたはPCVを選択できます。

患者の送気に合わせて強制換気を行うことでファイティングが生じることを抑えます

強制換気のタイミングまでの自発呼吸には、PSVを付加することができます。

SIMVでは、自発呼吸の吸気時間と強制換気の吸気時間が合っているのか確認することが重要です。

吸気時間の設定が自発呼吸に比べて長く、強制換気の途中で患者が呼気に移行した場合、吸気のおわりに気道内圧が上がることがあるため注意が必要です。

離脱困難な長期人工呼吸器患者では、SIMVとPSVを併用してウィーニングを進めます。

ココがポイント

SIMVにおける観察ポイント
・自発呼吸の同調性に注意
・吸気時間と吸気流量に注意
・SIMV+PSでは、立ち上がり時間、呼気感度に注意
・auto-PEEPに注意

 

PSVの観察ポイント

PSVは、自発呼吸を温存した換気モードであるため、同調性に注意して観察する必要があります。

PSVでは、自発呼吸をしっかり行い、ウィーニングに向けて鎮静レベルを浅くコントロールしていきます。

そのため、患者がチューブの不快感や苦痛から体動や事故抜去を起こすこともあるため、注意が必要です。

自発呼吸主体の換気モードでは、呼吸仕事量は人工呼吸器から患者にシフトします。

この際には、以下の項目に注意します。

ココに注意

酸素化(SpO2)、循環動態(HR,BP,不整脈の有無)、意識レベル、電解質や酸塩基平衡、呼吸回数、分時換気量、呼吸パターンの悪化(呼吸補助筋使用、異常呼吸)など

PSVは、自発呼吸が停止すると送気が停止するため、無呼吸アラームとバックアップ換気の設定が必要だよ!

 

CPAPの観察ポイント

CPAPは、自発呼吸下にPEEPを付加することで、吸気相・呼気相を陽圧に保ち、肺容量増加、肺虚脱の改善、呼吸仕事量の軽減を行います。

CPAPは、自発呼吸主体の換気モードです。

そのため以下に注意します。

ココに注意

酸素化(SpO2)、循環動態(HR,BP,不整脈の有無)、意識レベル、電解質や酸塩基平衡、呼吸回数、分時換気量、呼吸パターンの悪化(呼吸補助筋使用、異常呼吸)など

 

CPAPは、自発呼吸が停止すると送気が停止するため、無呼吸アラームとバックアップ換。気の設定が必要になります。

ココがポイント

PSVとCPAPにおける観察ポイント
・患者努力の増加でも気道内圧は一定
・患者努力が増加で換気量は増加
・自発呼吸と換気パターンが同調しているか確認が必要
・浅速呼吸がないか確認が必要
・オートトリガー、呼吸回数に注意
・auto-PEEPに注意
・無呼吸アラーム、バックアップ換気の確認が必要
・酸素化、循環動態、意識レベル、血液ガス、呼吸回数、分時換気量、呼吸パターンに注意

 

近年の特徴

近年の換気モードには、自発呼吸に対して同調性を高めることで人工呼吸器関連障害や廃用性萎縮を抑え、鎮静薬を減量できることが求められています。

自発呼吸下のモードでは、呼吸仕事量の軽減、下側肺の換気量増加と肺胞虚脱予防、換気血流比の改善、心拍出量の改善などが報告されています。

そのため急性期では、自発呼吸の停止は少なくし、自発呼吸と同調性の良い換気モードに切り替え、早期の離脱が求められます。

 

臨床の流れの例

患者をサポートする強さにより、換気モードを変更していくのが特徴となります。

step
1
導入期

A/C ( VCV・PVC )  または  酸素化が悪い場合:APRV・Bilevel

開始時は、A/Cでしっかり換気をサポートして、酸素化と呼吸仕事量を軽減します。

 

step
2
ウィーニング

SBT:PSV,Tピース  同調性が悪い:PVA,NAVA 
自動ウィーニング:SC,ASV

酸素化が改善しなければ、APRVやBilevelに変更する
同調性が悪ければ、NAVAなどの使用を検討する

 

step
3
離脱困難長期人工呼吸患者

SIMV+PS または   PSV

酸素化が改善され、自発呼吸がしっかりしたらPSVに切り替え、SBTを進めていきます。

離脱が困難な患者(人工呼吸器期間2週間以上または3回以上SBTに失敗)などでは、SIMVに切り替えて原因検索と治療を進めます。

 

人工呼吸器で期待される効果

自発呼吸を補助する換気モードで期待される効果は、

呼吸仕事量の軽減、下側肺の換気量の増加と肺胞虚脱予防、換気血流比の改善、心拍出量の改善などが挙げられます。

 

調整呼吸の換気モードでは、過剰鎮静から人工呼吸器間やICU滞在日数の延長及び長期予後の悪化が懸念されます。

 

そのため近年では、自発呼吸を温存した換気モードが主体となっています。

 

自発呼吸を補助する換気モードでは、患者―人工呼吸器の同調性が重要視されます。

同調性が低くなる原因は、トリガー不良、二段呼吸、不適切な吸気流量設定、吸気終末サイクル、内因性PEEPなどが挙げられます。

患者―人工呼吸器の非同調性は、PSVの場合、呼吸回数あたり約2%発生します。

 

そのうちミストリガーが85%、二段呼吸が13%、オートトリガー・早期終了・吸気時間延長はそれぞれ1%未満あると報告されています。

 

ミストリガー

ミオトリガーとは、呼吸努力があってもトリガーしない状態のことです。

吸気努力が弱く、トリガーレベルを超えない場合に起こります。

 

ミストリガーが発生したら、トリガー感度の設定が鈍くないか、内因性PEEPがないか確認する!

 

二段呼吸

二段呼吸は、吸気は終了するが2回目の吸気が続いて発生する状態です。

吸気流量が速い場合やコンプライアンスが低い肺の場合に起こりやすいです。

気道内圧が跳ね上がり、吸い終わる前に吸気が終了し、次にそのままトリガーすることで二段の吸気波形となります

呼吸が発生した場合は、立ち上がり速度、呼気感度の調整が必要になってくるよ。

 

オートトリガー

オートサイクルとも呼ばれています。

自発呼吸がないのに人工呼吸器が連続して自発呼吸を誤検知する状態のことです。

高すぎる(鋭敏)トリガー感度、回路リーク、回路内水滴、心原性の振動などにより発生します。

患者と人工呼吸器の同様性を確認するには、自発呼吸のアセスメントをして、グラフィック波形情報と合わせてフィジカルアセスメントを実践することが重要です。

努力性呼吸の有無、吸気流量の不足や吸気早期終了、シーソー呼吸や呼気時の腹筋の収縮などを早期に発見することが患者にとって最適な換気条件を検索する手助けとなります。

目視で自発呼吸を確認し、モニターと合わせて比較する!

 

 

内因性PEEP

吸気時間や呼吸回数が増加すると吸気時間が短くなり、呼気終了前に次の吸気が始まります。

そのような状態が生じるとエアトラッピングが起こり、内因性PEEP(auto-PEEP、intrinsic PEEP)が発生して過膨張となり、循環抑制や肺損傷が起こる場合があります。

内因性PEEPは、一回換気量が多い、吸気時間が短い、気道抵抗が高い、コンプライアンスが高いなどの時に発生しやすいです。

内因性PEEPの有無は、流量波形が呼気終了時にゼロに戻るかを観察することで確認することができます。

内因性PEEPが発生するとミストリガーが増加するよ

 

呼吸回数

運動時には、酸素の需要と二酸化炭素の産生量が増加しますが、通常の生体反応では、呼吸回数や換気量を増加させることで調整をしています。

不安などの感情や痛みの刺激によっても呼吸回数は変化します。

特に人工呼吸器管理中では、疾患による呼吸調整機能の破綻、病態の変化、鎮痛や鎮静の影響から呼吸回数や一回換気量が変化することが考えられます。

 

まとめ

臨床でよく使用されている4つのモードを基本として観察すべきポイントをお伝えしました。

モードによって見るポイントは異なります。

しっかりとおさえた上で臨床に臨みましょう!

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