小児看護

小児の呼吸評価

小児の心停止の原因は呼吸原性であることが多く、呼吸の異常は心停止や循環の破綻に直結してしまいます。

そのため小児科の看護師として働く場合、呼吸の評価が適切にできることは重要です。

呼吸器系のアセスメントをする意義

小児と成人の心停止には大きな違いがあります。

成人の心停止の原因の多くは、心筋梗塞などの心臓疾患由来であるのに対して、小児は呼吸原性の心停止が多くを占めます。

何らかの呼吸器系異常による低酸素血症が心筋虚血と同等の状況を引き起こし、心停止に至ります。

 

また小児の呼吸は、解剖学的・生理学的特徴からの障害を受けやすい状態にあります。

気道閉塞や低酸素血症、呼吸筋疲労をきたしやすく、急速に呼吸不全から心停止に陥ります。

子どもは、自ら症状を訴えることができないことが多いため、これらの特徴を理解した上で呼吸状態の評価を行うことには重要で看護師は繰り返し評価を行っています。

評価は何度も繰り返し行うことが大事です。
そうすることで子どもの変化に早期に気づくことができます!

小児の呼吸の特徴

小児の呼吸器系は構造的にも機能的にも未完成であり、特徴を把握しておく必要があります。

解剖学的特徴

子どもは、相対的に頭部が大きく頸部が短いことから、仰臥位では頸部が前屈し起動が閉塞しやすくなります。

また乳児では舌が大きく、口腔容積のほとんどを占めているため、上気道閉塞が生じやすい状態にあります。

気道が狭いことから少しの浮腫や遺物などが気流抵抗に大きな影響を与えます。

肋骨は成人と比べて水平に近い走行となっています。

そのため吸気時の可動域が小さく、一回換気量が得られにくくなります。

また横隔膜も平坦化しているため、横隔膜収縮による換気効率も悪い傾向にあります。

肺胞は小さく、数も少ないため、ガス交換に有効な面積は少ない状態にあります。

また気道や肺胞間の側副換気系が未発達なため、無気肺や気胸を起こしやすいです。

小児の肺は出生後も成長を続け、肺胞の形成は2~3歳までに形成され、7~8歳頃までに構造的・機能的に成人と同じ状態になります。

生理学的特徴

新生児期では呼吸中枢の発達が未熟であるため、低酸素や高二酸化炭素による換気応答能は劣ります。また生後6週頃までは無呼吸*1を呈することがあります。

乳児の呼吸様式は、鼻呼吸・腹式呼吸となっています。

とくに6ヶ月以下の乳児は鼻呼吸に依存していますが、鼻腔が狭いため気道抵抗は高い状態にあります。

また鼻汁の貯留や胃管挿入などによって、呼吸努力はさらに増大しやすくなります。

小児の胸郭は軟骨成分が多く、弾性線維や胸壁の筋群の発達が不十分であることから胸郭は柔らかいのが特徴です。

ココがポイント

つまり、胸郭のコンプライアンスは高くなります。

そのため何らかの原因による吸気努力の増大に伴い、陥没呼吸が出現しやすくなります

また胸郭が内側に引き込まれるということは、胸郭が十分に広がらないことを意味し、有効な換気量は得られにくくなります。

加えて胸郭コンプライアンスが高いことで呼気時に容易に肺が虚脱することから、小児の機能的残気量の絶対量は少ない状態です。

肋間筋の発達は未熟であるため、横隔膜による呼吸が主体であるのに対して、肋間筋による代償は十分ではありません。

そのため腹部膨満などの腹腔内圧上昇により容易に呼吸抑制をきたします

疲労に強い筋繊維の数が成人に比べて少ないため、呼吸努力が強い状況では容易に呼吸筋疲労が起こり、呼吸状態がさらに悪化します。

*1無呼吸:20秒異常の呼吸停止、または20秒未満であっても徐脈をともなうものと定義される

発達に関連した特徴

小児では、啼泣によって呼吸障害を増悪させてしまう場合が少なくないです。

空腹や家族との分離・処置に対する恐怖心が原因となる場合もあり、呼吸困難自体が啼泣の原因である場合もあります。

看護師は児の啼泣の原因を察知し、呼吸状態の悪化の悪循環に陥らないように観察する必要があります。

あやす、乳首を与える、遊びを提供するなど様々な介入を考えよう!

小児では、成長や活動量の増大にともない、気道の器質的異常が顕在化することもあります。

出生後には異常を指摘されなかった児が風邪などの上気道感染や他疾患の手術による麻酔・気管挿管を契機に気道の異常が発見されることも少なくありません。

逆に体格の成長のともない、経過の中で気道狭窄や気管軟化症が改善することもあります。

まとめ

小児の呼吸器系は、解剖学的・生理学的な特徴により予備力が乏しいです。

そのため子どもの呼吸状態の悪化は早く、容易に呼吸不全の状態に陥ります。

呼吸不全になる前に「何かおかしい」「経時的に変化してきている」などと早期に気づき、介入していくことが重要となります。

早期発見に繋げるための臨床での呼吸評価ポイントについては、
小児の呼吸評価(2)でご説明していきたいと思います。

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■ 看護師 / 小児集中治療 ■ 小児科ナース / PALS 資格所有 ■ 気付けば中堅クラスになっていました ■ 子どもを看るうえで必要な知識を発信します

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