集中治療

小児の人工呼吸器の適応

こんにちは。
小児集中治療室に勤務する看護師のpi ✿︎(@shinkan0607) です。
子どもを看る上での知識を発信しております。

 

最近は、臨床でHFNCやNPPVを早期に導入するようになってきているね。

でも小児の呼吸が悪くなるのはすごく早いイメージ…

どの段階で気管挿管をして、人工呼吸器管理をする必要があるのだろう…?

 

今回は、こんな疑問に答えます。

本記事の内容

  • 小児の人工呼吸の適応
  • 人工呼吸適応時の臨床所見
  • 小児の気道管理の特徴と問題点

 

小児の人工呼吸の適応は?

小児は成人に比べて、進行性の呼吸障害による心停止が多いと言われています。

小児の心停止の発生率は、成人に比べて低い一方で、いったん心停止に至った症例の転機は不良であり、呼吸障害に対する早期介入が必要です。

呼吸障害は、呼吸努力により酸素化・換気能が維持されている呼吸窮迫状態と、呼吸努力によっても酸素化・換気能のいずれかまたは両方が維持できない呼吸不全状態に分けられます。

SpO2や血液ガス分析は、介入に対する評価には有効ですが、人工呼吸器の適応を判断する上で最も重要となることは、呼吸努力の増加やそれに付随した循環障害、意識障害といった臨床所見になります。

 

人工呼吸器の適応時の臨床所見

HFNCやNPPVの早期導入によって、気管挿管を回避できる症例も増えてきています。

しかし、小児の呼吸不全の進行は急激です。

NPPVの導入で酸素化や換気能が改善されない、臨床所見が改善されない場合は、気管挿管での人工呼吸を考慮する必要があります。

実際にどのような臨床所見が生じた場合に、気管挿管および人工呼吸器管理が必要となるのでしょうか?

 

小児の人工呼吸器の絶対的適応

酸素化障害

・チアノーゼ(≧FiO2 0.6)

・PaO2 < 70Torr (≧FiO2 0.6)

・A-aDO2>300

・静脈血混合比>15~20%

 

機能的障害

・気道開通性障害:咽頭浮腫や舌根沈下など

・無呼吸

・低換気状態(PaCO2の上昇)

・意識障害や循環不全

・呼吸性アシドーシスの進行

 

相対的適応

換気能保持

・頭蓋内圧亢進

・意識障害

・循環不全

 

呼吸仕事量の軽減

・慢性呼吸不全の増悪

・循環不全

 

その他の適応

一時的な深鎮静管理

・検査や処置に深鎮静を要する場合

・移動のために深鎮静を要する場合

 

実際に見るべきポイント

・呼吸数:明らかに増加・減少していないか

・呼吸様式:呼吸補助筋の使用、シーソー呼吸、鼻翼呼吸、呻吟の有無

・陥没呼吸の有無:鎖骨下、季肋部は特に注意

・呼吸音の変化

・SpO2の変化

・胸部X 線所見や血ガス所見

 

これらの情報を複合的に見て、挿管および人工呼吸器管理の必要性について考えます。

 

小児の気道管理の特徴

小児の軌道形状は、輪状軟骨を最狭窄部とする漏斗上であり、カフを使用せずに気管の密閉性が保てると考えられてきました。

また気道粘膜損傷や声帯浮腫などの気道合併症を危惧する考え方から、カフなし気管チューブが多く用いられてきました。

しかし近年では、小児も成人と同様に声門部を最狭窄部とする円筒状であると言われています。

 

小児の蘇生ガイドラインでは、以下のように言われています。

小児の緊急気管挿管に用いる気管チューブは、カフ付きでもカフなしでもよい。カフ付き気管チュー ブを用いるときは、カフ圧が過剰にならないようにするべきである。カフの長径や先端からの位置が製 品によってまちまちであるため、患者の体格と気管チューブサイズの組み合わせによって、声門と気管分岐部の間にカフが収まらない可能性があることに留意する。

「JRC 蘇生ガイドライン 2015 オンライン版」一般社団法人 日本蘇生協議会

カフ付き気管チューブは、気管と気管チューブとのリークを最小限にすることができます。

これによってカプノグラムや呼吸器の換気量モニターの信憑性を高めることができます。

また、呼吸器との同調性も高める効果があると言われています。

 

私の働く病院でもマイクロカフのカフ付きの気管チューブが主流です!

 

小児の挿管チューブ管理

小児の気道は短いため、気管チューブの先端位置は厳密に管理する必要があります。

気管チューブは、中立位で気管中部に先端が位置するように固定します。

気管チューブの先端位置は、頸部の伸展位で浅くなり、屈曲位で深くなります。

また頭の回旋によっても浅くなるため、体位交換や自己体動、首振りなどに注意して管理する必要があります。

 

「急な体動で首を振られると自己抜去するリスクが高くなります。

そうならないためにも、適切な鎮静度やしっかりとした固定が必要です!

必ず受け持つ際には、こまめにチェックしましょう。」

 

こちらも参考

小児の気管チューブのサイズ選択は、カフ付きとカフなしで異なります。

カフ付き気管チューブ

カフなし気管チューブ

新生児〜1歳

3.0

3.5

1歳〜2歳

3.5

4.0

2歳以上

年齢/4+3.5

年齢/4+4

 

小児の適切なカフ圧は?

小児の適正なカフ圧は、成人で設定するカフ圧(20~30cmH2O)より低いと考えられています。

小児では、10~20cmH2Oでリークが最小限になると言われており、この圧で十分にその役割を果たすことができます。

またカフ圧は中立位と比べて頸部の伸展位で低下し、屈曲位で上昇するとされています。

 

小児の人工呼吸器の適応まとめ

小児の人工呼吸器の適応について理解できましたか?

挿管および人工呼吸器管理を行う!と決断するのは医師です。

しかし、患者さんの一番身近にいてその変化を誰よりも早く見つけることができるのは看護師です。

状態の悪化に早急に気づき、より良い呼吸管理ができるようになりましょう!

こちらもCHECK

人工呼吸器の基礎知識 【 PEEP / プラトー / コンプライアンス / トリガー】
人工呼吸器の基礎知識 【 PEEP / プラトー / コンプライアンス / トリガー】

続きを見る

こちらもCHECK

人工呼吸器のモード 【 A/C,SIMV,PSV,CPAP 】

続きを見る

こちらもCHECK

呼吸障害の種類 “子どもへのケア”

続きを見る

  • この記事を書いた人
アバター

pi ✿︎

■ 看護師 / 小児集中治療 ■ 小児科ナース / PALS 資格所有 ■ 気付けば中堅クラスになっていました ■ 子どもを看るうえで必要な知識を発信します

-集中治療

© 2020 PI+ICU NURSE BOOK Powered by AFFINGER5