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人工呼吸器のモード選択

こんにちは。
小児集中治療室に勤務する看護師のpi ✿︎(@shinkan0607) です。
子どもを看る上での知識を発信しております。

  • 人工呼吸器のモードの選択ってどうするの?
  • 人工呼吸器のモード別で何に注意したらいいの?

こんな疑問を抱えている看護師さんは多いのではないでしょうか。

こういった疑問について今回の記事ではお伝えします!

人工呼吸器のモードの違いを知り、モード選択について理解しましょう。



人工呼吸器のモード選択が必要な理由

人工呼吸器の主な目的は、換気障害または高度酸素化障害に対して人工的に呼吸の補助または代行を行うことです。

これらの目的を達成するためには患者の呼吸状態(障害の程度や自発呼吸の有無)に合わせて、最適な換気モードを選択する必要があります。

その“ 最適なモード ”の選択ですが、どのように行うべきなのでしょうか?

 

人工呼吸器の最適なモード選択

先ほどもお伝えしましたが、人工呼吸器のモードの選択は患者さんの状態に合わせて行います。

そのため患者の状態が変化すれば、呼吸器のモードの選択を変更する可能性もあることを忘れてはいけません。

まず必ず確認すべき項目は、患者の自発呼吸の有無です。

自発呼吸がある場合とない場合では、人工呼吸器のモードの選択は異なります。

 

自発呼吸がない場合のモード

術後の麻酔が残っている状態や鎮静鎮痛薬あるいは筋弛緩薬などを使用している場合、中枢性または神経筋疾患などでは、自発呼吸がありません。

この場合には、人工呼吸器による換気が必要となります。

酸素化不全がない場合は、換気代行の調節呼吸を選択します。

自発呼吸がなく酸素化不全をきたしている場合には、吸入酸素濃度やPEEPの設定を考慮します。

また、吸気時間延長による高圧相時間を増やして平均気道内圧を高く保つ目的のI:E逆転換気を用いることもあります。

より高度な酸素化不全には、高頻度振動換気(HFV)が有効となる場合もあります。

 

自発呼吸がある場合のモード

術後管理では、過度な鎮静を避けて、人工呼吸器関連合併症の予防や早期の人工呼吸器離脱を目指します。

そのため自発呼吸を有効にするモードが選択され、部分的補助換気を積極的に使用します。

自発呼吸があり酸素化不全を併発する患者に対しては、吸入酸素濃度とPEEPやCPAPの設定を考慮することも大切です。

同時に肺保護のためにより低い圧で有効な換気が得られるように、自発呼吸に同調しやすい圧規定換気を用いる方が良いと言われています。

 

重度の肺障害の場合のモード選択

急性肺損傷や急性呼吸窮迫症候群(ARDS)などの重度肺障害での高度酸素化不全の場合には、通常の人工呼吸器モードではなく、最高気道内圧が制限される中で高い平均気道内圧が得られる二相性CPAPであるBIPAPモードが用いられます。

二相性CPAPには、BIPAPモードのほか、APRVモードなどがあり、自発換気は一切なくても換気を担うことができます。

換気エリアを増大させるために、自発換気があってこそ二相性CPAPであることを念頭におく必要があります。

 

人工呼吸器のモード変更の流れ

近年の人工呼吸器の換気モードは、自発呼吸に対して同調性を高めることで、人工呼吸器関連障害や廃用性萎縮を抑え、鎮静薬を減量できることが求められます。

急性期では、自発呼吸の停止は少なくし、自発呼吸と同調性の良い換気モードに切り替え、早期離脱を目指します。

step
1
人工呼吸器使用開始時

開始時は、A/Cでしっかりと換気をサポートする。

酸素化の改善と呼吸仕事量の軽減が目的。

同調性が悪い場合は、PVATM+やNAVAの使用を検討する。

※ 酸素化が改善しなければ、APRVやBilevelに変更する。

step
2
酸素化が改善され、自発呼吸がしっかりしたらPSVに切り替え、SBTを進める

SBT は、基準に沿って進めていく。

※SBTについてはこちらで説明

step
3
離脱困難な患者

離脱が困難な患者(人工呼吸器期間2週間以上または3回以上SBTの失敗)では、SIMVに切り替えて原因検索と治療を始める。



人工呼吸器のモードの種類

人工呼吸器のモードは、患者の状態によって変化する必要があることは分かりましたね。

近年は、人工呼吸器の発展も素晴らしく、機器や会社によってさまざまな換気モードが開発されています。

主に用いることが多いモードとしては、「A/C・SIMV・CPAP・PS・APRV」などが挙げられます。

 

A/C(アシストコントロール)

A/Cモードは、急性期の人工呼吸器導入時によく使用します。

強制換気で肺の換気と拡張を維持し、呼吸仕事量を軽減することが目的です。

アシストコントロールのassistは「補助換気」Controlは「調整換気」という意味です。

補助換気とは、患者自身が呼吸サイクルを開始し(患者トリガー)、そのタイミングに従って呼吸器で設定された1回の換気を供給することです。

それに対して人工呼吸器が換気の開始を決めること(器械トリガー)を調整換気と言います。

この2つの換気が混ざり合うモードであるため、A/Cモードと呼ばれています。

詳しくはこちらでも説明しています。

参考【人工呼吸器のモード】基本知識を理解しよう。 A/Cモードって?

続きを見る

 

PSV(プレッシャーサポート)

PSVは、自発呼吸を温存した換気モードです。

そのため同調性をよく確認する必要があります。

PSは患者の吸気呼吸をトリガーし(患者トリガー)、フローが素早く増えて、設定したサポート圧まで素早く圧を支持する換気補助になります。

PSVでは、自発呼吸をしっかり行い、ウィーニングに向けて鎮静レベルを浅くコントロールしていきます。

そのため患者がチューブの不快感や苦痛から事故抜管を起こす可能性があり、注意が必要です。

 

CPAP

CPAPは、自発呼吸下にPEEPをかけることで吸気相・呼気相を陽圧に保ち、肺容量増加、肺虚脱の改善、呼吸仕事量の軽減を行います。

CPAPモードは、抜管する前のウィーニングの評価のためにのSBT(自発呼吸試験)などに用いられることが多いです。

純粋なCPAPのモードでは、気管チューブが抵抗となり、呼吸仕事量が増えることが問題となります。

 

SIMV

SIMVは、自発呼吸だけでは換気量が不足する場合に一定の間隔で補助呼吸を行うモードです。

患者の吸気に合わせて強制換気を行うことで、ファイティングを抑えます。

SIMVでは、自発呼吸の吸気時間と強制換気の吸気時間が合っているのか確認することが重要です。

 

ARPV

ARPVモードでは、2相のCPAPを使用します。

高圧相では肺胞虚脱改善と酸素化を改善し、低圧相(短時間)では換気補助と内因性PEEPから肺胞虚脱防止を行います。

基本的に自発呼吸がある上で使用するモードであり、呼吸努力が強いと経肺内外圧差が大きくなり肺障害を助長する可能性があります。

炎症を起こしている肺胞領域では、ガスが入りにくく出にくい状態であるため、正常な肺胞に比べるとガスの呼出に時間がかかります。

低圧相の時間を短く設定することで、病的肺胞からガスが呼出して虚脱する前に高圧相に戻し、肺虚脱を予防します。



まとめ

人工呼吸器のモードの違いとそのモードを選択する理由について理解できましたか?

人工呼吸器のモードの選択は正しく行わなければ、患者にとっても苦痛なものとなってしまいます。

人工呼吸器のモード選択について理解した上で臨床に取り組みましょう。

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ぴっぴ ✿︎

現役看護師 / 小児科 / 小児集中治療 / PALS資格所有 看護師として5年以上の経験を積んだ中堅看護師です。 お父さん、お母さんをそっとサポートできるような記事を書いています。 看護師向けに必要な知識も発信中。

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