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【人工呼吸器管理中の看護】チェックリストに沿って確認していこう

  • チェックリストってなに?
  • 人工呼吸器の適応は?
  • 小児の肩枕の必要性って?
  • 小児の鎮静鎮痛の評価ってどうするの?

 

この記事を読むと【人工呼吸器管理中の看護】について理解することができます。

 

小児集中治療室に勤務する看護師のぴっぴ✿︎(@shinkan0607) です。
上記の疑問の答えとなるような記事を書きました。

 

人工呼吸器管理中の看護について理解することで不安を軽減させて、自信を持って臨床に取り組むことができますよ!

 

この記事を読んでほしい方

  • 人工呼吸器管理に自信がない看護師
  • 人工呼吸器管理をもっと知りたい看護師
  • 小児の安全管理を知りたい看護師

 

人工呼吸器管理は看護師にとって難しい?

人工呼吸器管理を行うことは

「難しくて自分にできない」「なんだか怖い」

と思っていませんか?

 

新人看護師
機械についてもわからないし、患者さんをみれる自信がありません。

 

私も同じことを思っていたよー。でもちゃんと理解した上で実務を積むと自信をつけれるよ!

 

新人看護師
え…そんなイメージないです。先輩のようになれません‥

 

そんなことない!しっかりと勉強すればできるようになるよ!

 

よくある臨床での一場面です。笑

 

新人看護師にとって難関と言える人工呼吸器。

 

(全ての看護師が通る道ではありませんが、少なくとも在宅でも使用するので最低限の知識を持っておくことをおすすめします!)

 

しっかり理解していきましょう!!!

 

新人看護師技術チェックリスト

新人看護師チェックリスト

「新人看護師技術チェックリスト」は、厚生労働省によって設定されています。

 

もちろん部署によって必要な技術は異なります。

 

スタンダードなものとして技術のチェックリストを使用することをお勧めします。

 

人工呼吸器のチェックリスト

新人看護師技術チェックリスト

Ⅸ.人工呼吸器を使用した患者の管理が安全かつ確実に行える 

A.気管内挿管の準備ができる
B.人工呼吸器の基本知識がある
C.人工呼吸器装着中の患者の安全な管理ができる
D.人工呼吸器のアラーム管理ができる

厚生労働省

上記の項目からさらに細かい内容に分かれています。

 

今回は、チェックリストの中のB(人工呼吸器の基本知識)とC(人工呼吸器装着中の患者の安全な管理)のための知識をお話しします!

 

人工呼吸器管理の特徴

呼吸障害は、「呼吸窮迫状態」と「呼吸不全状態」に分けられます。

 

呼吸障害の程度を評価するには、血液ガス分析やSpO2などが介入に対する有用です。

 

人工呼吸器の適応を判断する上で最も重要なのは

呼吸努力の増悪やそれに伴う循環障害や意識障害といった臨床的所見とその変化になります。

 

呼吸障害については、こちらでも説明
>>【呼吸障害の種類と子どもへのケア】

血液ガス分析について詳しく知りたい方はこちら
>>血液ガス分析

 

人工呼吸器の適応

人工呼吸器の適応は

  • 酸素化障害が生じている場合
  • 換気能障害が生じている場合
  • 呼吸仕事量を減少させたい
  • 深鎮静をしなければいけない場合

などが挙げられます。

鎮静目的で人工呼吸器管理となることもあるね!

 

人工呼吸器の利点

人工呼吸器の利点は、下記に示す通りです。

  • 確実な気道確保ができる
  • 気管吸引が可能
  • 確実な酸素投与ができる
  • 換気量を維持することができる

 

人工呼吸器の欠点

人工呼吸器の欠点は、下記に示す通りです。

  • 上気道のバイパス
  • 気道損傷のリスク
  • 患者の苦痛が生じる
  • 鎮静鎮痛が必要となる

人工呼吸器を使用することは、利点も多いですが欠点もあります。

 

利点と欠点を考慮した上で適正を考えて導入するよ!

 

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人工呼吸器と生体への影響

人工呼吸を使用することは、通常の呼吸と異なる呼吸が行われます。

 

そう!陽圧呼吸ですよね。

 

これらの違いが生体へ影響を与えます。

 

自発呼吸と陽圧呼吸の特徴

自然呼吸の特徴は、以下の通りです。

  • 横隔膜と肋間筋の収縮により胸腔内に陰圧が生じることにより吸気が行われる
  • 肺の弾性に応じて呼気は行われる
  • 呼気時に気道内は陽圧になり、胸腔内は陰圧のまま

 

一方で陽圧呼吸は、以下の特徴があります。

  • 人工気道を介して吸気ガスを送り込み、その圧で肺が膨らむ(吸気)
  • 肺の弾性に応じて呼気を行う
  • 呼気終末陽圧(PEEP)をかけることで肺の虚脱を防ぐ
  • 荷重側肺障害により無気肺も生じやすい
  • 血流は背側に増加し、換気血流不均衡を起こしやすい

陽圧呼吸では、吸気時も胸腔内は陽圧となり、生体に影響を与えます。

 

人工呼吸器の生体への影響

 

メリット

デメリット

呼吸器系 酸素化の改善
換気の改善
呼吸仕事量の軽減
呼吸の担保
気道確保
呼吸器関連肺障害
シャント効果による酸素化増悪
荷重側肺障害
呼吸筋萎縮
呼吸器関連肺炎
声門下狭窄
肺痰機能低下
循環器系 静脈還流減少による前負荷軽減
腹腔内外圧較差増大による後負荷軽減
静脈還流量減少
心拍出量減少
尿量減少
浮腫
脳神経系 頭蓋内圧上昇
せん妄
消化器系 消化管障害
呑気による胃拡張
その他 精神的ストレス
皮膚障害

 

影響を最小限にできるように看護介入をしていくことも大切です。

 

人工呼吸器装着中の患者の安全な管理(小児の場合)

 

人工呼吸器管理を行う上で看護師として注意したいポイントは、患者の安全管理です。

 

特に小児の場合は、鎮静が浅いと事故抜管のリスクも高くなるため

気をつけて管理したいポイント。

 

技術チェックリストにも載っていますね。

小児ならではの知っておくべき知識をお伝えします!

 

気管チューブのサイズと挿入長

小児では、カフなし気管チューブとカフ付き気管チューブが用いられています。

気管とチューブ間のリークが最小限になるサイズが選択しましょう。

 

挿入長は、「中立位で気管中部に先端が位置」するように固定します。

胸部X線上で「第2・第3胸椎間」「気管分岐部より0.5cm頭側と両側鎖骨中線の間」が目安ですね!

 

カフ付き気管チューブを使用する場合は、カフによる声帯損傷の可能性を考慮して、挿入長を調整しましょう。

 

ブラックラインの確認が大切ですね!

 

小児の期間チューブサイズの選択

小児の気管チューブのサイズ選択は、以下を参考にしています。

緊急時で必要な知識なので覚えよう!

 

小児の気管チューブのサイズ選択(ID:mm)

カフ付き気管チューブ カフなし気管チューブ
新生児〜1歳 3.0 3.5
1〜2歳 3.5 4.0
2歳以上 年齢/4+3.5 年齢/4+4

 

カフ圧とリーク

解剖学的・生理学的特徴から今までは、小児ではカフなしの気管チューブが用いられてきました。

 

近年では、カフ付き気管チューブの安全性が示されており、小児でもカフ付きの気管チューブを使用するようになっています。

 

カフ付き気管チューブは、気管-気管チューブの間のリークを最小限にすることができます。

 

リークが生じると

  • 換気量の低下
  • 分泌物の誤嚥
  • 呼吸器との同調不良
  • カプノグラフィ(EtCO2)
  • 換気量モニターの信頼性低下

 

小児の適正なカフ圧は、成人より低いです。

10~20mmH2Oでリークが最小限となり十分に役割を果たします。

 

気管チューブの固定

小児は、分泌物が多く、首振りなどの体動も激しいです。

これにより気管チューブの固定用テープは緩みやすくなります。

 

乳幼児は相対的に気道が短く、1~3cm変わると計画外抜管や片肺挿管になる恐れがあります。

 

看護師は、人工呼吸器管理のポイントとして

  • チューブの固定が確実か
  • 鎮静はしっかりかかっているか
  • 首振り、体動への対応は行われているか
  • チューブ留置部位の皮膚保護

上記に注意していきましょう!

 

人工呼吸器管理中に肩枕を使用

小児は頭部が前屈しやすいため

気道を最大限に開放し、気管チューブを適切な位置で保持する必要があります。

 

気道を最大限に開放するためには

正中位で少し頸部を伸展、頭部を後屈させたスニッフィングポジションが有効です。

 

スニッフィングポジションとは、肩関節の前面と外耳孔が水平面で同じ高さになります!

 

 

スニッフィングポジションを取りやすくするためには

年齢や体格に応じて枕を入れる位置を調整する必要があります。

 

肩枕を入れる目安

2歳以下の小児:肩から背中にかけて枕を入れる

3歳以上で外傷が疑われない時:後頭部に薄い枕を入れる

 

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人工呼吸器管理中の啼泣

挿管管理中の子どものママ

この子ずっと泣いてるんですけど…どこか痛いのでしょうか?

 

このような質問をベッドサイドでご家族からいただきます。

人工呼吸器管理中の子どもを見ることに慣れていない家族からしたらびっくりしますよね。

 

人工呼吸器管理中であっても子どもが啼泣している場合は、看護師は子どもからの重要なサインとして何が起こっているのか考えます。

 

人工呼吸器管理中の啼泣、何を訴えているでしょう?

 

子どもの啼泣は、

満足・苦痛・怒り・悲嘆など満たされない甘え

周囲の環境の変化や緊張感、苛立ち

などに反応しているのです。

 

人工呼吸器管理中に啼泣が起きると、以下のことを引き起こします。

  • 人工呼吸器との同調性を損なう
  • ファイティングを引き起こし、気道内圧を上昇させる
  • 分泌物を増加させる
  • 咳き込みや気管吸引による刺激が啼泣を増加させる
  • 啼泣時の体動や咳き込みが事故抜管の要因となってしまう
  • 啼泣の持続は心負荷の増大となる
  • 啼泣に伴う息こらえは、低酸素血症や徐脈の原因となる

そのため人工呼吸器管理を行なっている子どもには、適切な鎮静薬の投与は必要不可欠です。

 

しかし、安易に鎮静薬を増量してしまうと、重要なサインを見逃してしまいます。

 

まずは、下記に対して十分な原因検索や対応を行いましょう!

  • 生理的なもの:空腹、眠い、夜泣き
  • 苦痛によるもの:呼吸が苦しい、疼痛、ドレーンやチューブの不快感、刺激、体勢が不快、創部痛、おむつの汚染、暑い、寒い
  • 怒りによるもの:抑制が苦痛、自分の欲求が伝えられない
  • 悲嘆によるもの:寂しさ、不安

 

人工呼吸器管理中の鎮静・鎮痛

新人看護師
小児の鎮静・鎮痛の評価って難しいです。どういったことに注意すればいいですか?
とってもいい質問!さーて、考えてみよう!

 

人工呼吸器管理中の鎮静・鎮痛管理は必要不可欠です。

鎮静薬を使うことで

  • 苦痛の軽減
  • 事故抜管の予防
  • 心的外傷の予防

上記の効果が得られます。

 

しかし副作用として呼吸・循環抑制をきたすため、適切なモニタリングを行いながら使用します。

 

小児の鎮静評価

子どもの至適鎮静レベルを適切に評価するためには、鎮静スケールを使いましょう!

 

スケールを用いることで医療スタッフによる認識の違いを少なくすることが可能になります。

 

小児の鎮静スケールとしては、SBSやRASSが用いられています。

 

小児の疼痛評価

小さな子どもは、痛みを伝えることができませんよね。

 

人工呼吸器管理中の小児では、痛みに対する生理学的反応や行動学的反応を観察することが重要となります。

 

また鎮痛薬の効果を評価するには、疼痛スケールを用いてみましょう!

 

小児で使用されている疼痛スケールは、

フェイススケール、CHEOPS、BPS、VAS、NRSなどがあります。

 

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まとめ

小児の人工呼吸器管理中の看護のポイントを抑えることはできましたか?

  • 新人看護師はチェックリストを活用しよう
  • 人工呼吸器の特徴は必ず理解する
  • 看護師としては安全管理が大切

臨床で生かしていけるように一緒に頑張りましょう!

 

もっと人工呼吸器ついて知りたいあなた。
>> 【人工呼吸器の仕組み】基本知識のまとめ“集中治療看護師”が詳しく解説

 

用語整理

  • 荷重側肺障害:仰臥位を続けることにより肺の下側(背側)に生じる肺障害。

  • 呼吸器関連肺障害:人工呼吸による陽圧換気に伴う気胸などの肺の損傷をVALI(人工呼吸器関連肺損傷)と呼ぶ。

 

参考文献

看護roo!.“小児の人工呼吸器中の特徴と観察点は?”.https://www.kango-roo.com/learning/4601/(参照2021-01-25)

厚生労働省.“新人看護師技術チェックリストの使い方”https://www.mhlw.go.jp/shingi/2009/07/dl/s0709-14c.pdf(参照2021-01-25)

三浦規雅(2018)『重症小児患者ケア ガイドブック』道又元裕,総合医学社

道又元裕(2014)『新 人工呼吸ケアのすべてがわかる本』照林社

渡辺嘉之(2017)『重症患者ケア』総合医学社

 

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参考文献

三浦規雅(2018)『重症小児患者ケア ガイドブック』道又元裕,総合医学社
道又元裕(2014)『新 人工呼吸ケアのすべてがわかる本』照林社
渡辺嘉之(2017)『重症患者ケア』総合医学社
日本集中治療医学会.“人工呼吸器離脱に関する3学会合同プロトコル公開”https://www.jsicm.org/publication/kokyuki_ridatsu1503.html(参照2021-01-27)
看護roo!.“小児の人工呼吸器中の特徴と観察点は?”.https://www.kango-roo.com/learning/4601/(参照2021-01-27)

※ 本記事は、参考文献を元に執筆しております。

  • この記事を書いた人

ぴっぴ ✿︎

現役看護師 / 小児科 / 小児集中治療 / PALS資格所有 看護師として5年以上の経験を積んだ中堅看護師です。 お父さん、お母さんをそっとサポートできるような記事を書いています。 看護師向けに必要な知識も発信中。

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